vol.120「ビーコル2シーズン目の出航」
さあ、横浜海賊・横浜ビー・コルセアーズ(以下、ビーコル)が2シーズン目の航海へ船出します!
今シーズンは日本人のビッグマン#15佐藤託矢(198㎝)とPG#21田渡凌(180㎝)の2人と、昨シーズン特別指定選手の#8満田丈太郎(188㎝ 通称ジョー)も正式に新加入となり計3人が補強されました。
それと引き換えに、大型日本人Fとして頑張ってくれた堀川竜一がB2「香川ファイブアローズ」へ、アグレッシブで山田の貴重な控えPG喜久山貴一はB2「バンビシャス奈良」へ、帰化枠選手として身体を張ったディフェンスとリバウンドを頑張ってくれたファイ・パプ月瑠はB2「ライジングゼファーフクオカ」へと移籍になりました。
とは言え、両外国人が残ってくれたことは嬉しかったです。
外国人に限らず同じメンバーで長年プレーするとお互いの動きを理解でき、いわゆる「阿吽の呼吸」が生まれてきます。これによってケミストリーも生まれます。
そんな中行われた、Bリーグのプレシーズン・トーナメントと言へるEARLY CUP(まあ表現がダサいこと(笑))、ビーコルはKANTOトーナメント1回戦で、東地区の「千葉ジェッツふなばし」(以下、千葉)と対戦しました。
立ち上がりは、千葉の富樫に外から撃たれリードされたもの、新キャプテン#5湊谷安玲久司朱(190㎝ 通称アレク)の積極的なシュートとI/S(インサイド。ゴール下の四角く色が付けられた内外)で追いつき、良い勝負となりました。第3Q(クォーター)に入ると千葉の帰化枠マイケル・パーカーと、ギャビン・エドワーズやトニー・ガフニーの外国人にI/Sを攻められ、一気にリードが開かれ70-92と大差をつけられて敗れました。
翌9月2日(土)、同じく船橋アリーナで行われた5-6位決定戦では、東地区のサンロッカー渋谷(以下、渋谷)と対戦しました。
ビーコルはI/Sとアレクのシュートで攻めると、調子が上がらない渋谷はシュートミスが多く、ビーコルが一歩リードで展開していましたが、第3Q終盤に一度逆転されました。
しかしすぐ#25竹田謙(188㎝通称ケン)のシュートで追いついたものの、最終4Q開始早々、52-51と1点リードの時、#42ジェイソン・ウォッシュバーン(208cm 通称Jウォッシュ)が古傷の右足首を捻って退場したため、外国人及びI/Sは#4ジェフリー・パーマー(203㎝ 通称JP)一人となり、その後は手薄なI/Sを突かれ、67-73で敗れてしまいました。
とは言え、Jウォッシュ欠場の9分半で15-22は悪くない数字だとは思います。
まあ最後は、諦めたみたいなところが見えたのは少し情けないですが!!
Bjリーグ時代は「逆転のビーコル」と呼ばれていたこともありましたからね!!
とは言え、今回良かったことの一つにアレクに積極性が出てきたことです。
昨シーズンは3Pを53ゲームで107本しか撃ってませんが、この2ゲームで33本も撃っています。
私は「IF40」と言う用語を使います。これは「もし40分フル出場したとしたら」と言うもので、単位時間当たりの数値ですが、昨シーズンからの5.3本から6.5本と大きく伸ばしています。「IF40」について文末で注釈を入れました。
アレクがキャプテンに指名されたとき、殆どの人が「何故?」「大丈夫?」と言っていましたが、私は面白い選択だと思いました。
理由は、中・高校で能力は高いけどちょっとヤンチャだったり、団体行動に積極的で無かったりする子を敢えてキャプテンに据えることがありますよね。キャプテンになったことで責任感が芽生え、当人にもチーム全体にも良い方向へ進むことが多くあります。
私はそれだと感じました。
アレクの話に戻ります。
昨シーズンと違い、スタメンになったこともあるのでしょうか、vs千葉戦では第1Qだけで4本もシュートしています。得意とする3P(3点シュート)も昨シーズンのアテンプト(試投。Aと略す)のIF40が5.3本から6.5本へ大幅に増え、積極的に撃ちに行っていることが判ります。それに伴い、確率も25%から33%と良くなりました。
元々スタメン起用の方が力を発揮するタイプと言われ、プレータイム(出場時間)も長い時間貰えたことで、自分のプレーを思い切って出来るようになったのでしょうか、取り合えず良い方向へ向かっています。
昨シーズンのビーコルは、ケンの38歳を筆頭に、#3蒲谷正之(183cm 通称カバ)35歳、#13山田謙治(180㎝ 通称ケンジ)の34歳等々、主力の殆どが30歳代でベテラン軍団と言われましたが、今シーズンは一寸変りました。
昨シーズンからの#0細谷将司(173cm 通称マーシー)27歳と、特別指定選手として昨シーズン半ばから加わったジョー23歳に、アメリカ帰りの田渡24歳が加わりヤング・トリオが形成され、チームの平均年齢を大幅に下げました?!
この3人は、若さを生かして「明るく元気にチームを引っ張っていきたい!」と語っており、特にディフェンス面において、昨シーズンも指摘されていた「フィジカルに欠け、プレッシャーが弱いディフェンス」を、若い脚を持った3人で変えて行こうとも言っています。
昨シーズンのビーコルは、ベテランらしい先を読んだディフェンスで相手を抑えていたものの、オフェンスに密着していないことが多いため、相手は体力を温存できます。唯一人エースキラーと言われた#2高島一貴(190㎝通称カズ)だけが強いプレッシャーを掛けたディフェンスをしていました。
常に接近し、押したり止めたりディナイ(ボールを持たせないように接近しボールのコースを抑えること)をすると、相手は急ストップや角度の大きい方向転換等で動き回らなければならず、体力が削られていき大事な終盤で疲れが出て、プレーの精度が下がります。後半のビーコルが正にそうでしたね(涙)
それを元気な脚を持った若手のトリオがプレッシャーを掛けて行こうと言うことで、頼もしいですね!!
更に、田渡の加入で今シーズンはPGが3人になりました、それもスタメン・クラスばかりです。
そしてこの3人は同じPGと言ってもタイプが分れます。
現在スタメン最有力のマーシーは、3Pもドライブインも得意な得点優先のアグレッシブなPGです。昨シーズンは8.5PPG(1ゲーム平均得点)でJウォッシュ、JP、#1川村卓也(193cm 通称タク)に次ぐ、チーム4番目の得点を誇っていました。先のEARLY CUPでも、両ゲームとも早々(vs千葉は2本目、vs渋谷は最初)に、マーシーが撃っています。この積極性がマーシーの特長です。
それに対し田渡は、京北中学時代から名PGとして全国的に名を広め、父親がコーチする京北高卒業後アメリカに渡り、数校を経てドミニカン大学カリフォルニア校でプレーした経験豊富な選手です。さらに言えば、田渡3兄弟の末っ子として小さい頃から本格的なバスケットボールを見て、自宅のリングでシュートをしていた若いベテラン選手でもあります。
シュートも上手ければドリブルのスピードもあり、パスや状況判断も優れたオールマイティーなPGで、マーシーと田渡の緩急付けた攻撃リズムが面白そうです。
そしてケンジは、状況判断に優れゲームコントロールができるベテランPG。チームがピンチになれば、ベンチから出てきてチームを落ち着かせ、ビーコルのリズムをもどすことができます。
と言うことで、司令塔役のPGにタレントが揃い昨シーズンと違い、今シーズンは安定したゲーム運びが期待できそうです。
その田渡は、ユニバーシアードに参加していたため、大会前日の木曜日午後の練習にやっとチームに合流と言う離れ業でした(笑)
まずは「ビーコルのプレースタイルと選手の個性を知るため」としたこの大会で、外国人も含めフィニッシュできる(シュートを決められる)選手が多いので、そこへパスを入れるのが役目だと感じたようです。とは言え、田渡自身もいつでもシュートを決められる力を持っており、彼自身のシュートのタイミングもこれからの見どころの一つになってくるでしょう。
渋谷戦後に、古田コーチに話を聞きました。
4Q途中までは我慢していたのですが、そこからT.O.(ターンノーバー。ミスで相手ボールになること)が多かった。ただ今シーズンのテーマの一つである、速攻時のミス(vs渋谷戦でJPがロングパスを数度ミス・パスしていた件)はテスト段階なのでしょうがなく、ミス後に何をするかが重要です。勝ち切れないのがうちの癖、それを改善して行かないと、、
もっとディフェンスを強くして行かないと、特にフィジカルなディフェンスになるように。
アレクのポジションも、現在リハビリ中の佐藤を3~4番で使う予定なので4番で使うかもしれません。(佐藤は3Pも得意なので、外からのシュートや日本人ビッグマン(Big Man)として、身体を張ったゴール下のプレーも両方出来るので、その良さを活かし、ミスマッチになりそうな190㎝のアレクを優位に立つI/Sでプレーさせることもある、と言うことでしょう。)
田渡は前日に合流したばかりなので、ミスが多かったけど心配はしていません。
まだまだ未完成のビーコルですが、開幕まで半月以上ありますし、外国人がまだ一人決まっていません。ところで噂になった元NBAのビックマン(Big Man)はどうなったのでしょうか(笑)
それにシーズンは長いです。慌てなくてもしっかりとチームを作ってもらいたいものです!
開幕戦は今月の29日金曜日、場所はビーコルの聖地・横浜文化体育館です!!
日程はこちらからどうぞ!
2017-18 横浜ビー・コルセアーズ レギュラーシーズン日程
*IF40
「アベレージ」は「1ゲーム平均」の値ですが、出場時間が長い選手の方が値は大きくなるため、必ずしも正確に評価しているわけではないと思い、考えだしました。
例えば、今トーナメントでのカバは、1ゲーム平均でたったの3.0点しか得点してなく、大して活躍して無いように思えますが、プレータイムが平均9.5分なので「得点IF40」では12.6点となります。
今トーナメントで「IF40」が一番高いのが、Jウォッシュの25.7点で、JPの18.8点、アレク15.3点、タクの12.7点に次ぐ成績なので、カバの活躍度が判ってもらえると思います。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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