vol.119「中学大会男子坂本中、女子相模女大中が強い」
例年のごとく、6月のインターハイ予選が終わると中学生の活躍の時になります。
8月23日~25日まで沖縄県で行われる、第47回全国中学校バスケットボール大会に向けて、予選となる通称・中学総体が、各市各地区で行われます。
藤沢市を例にとると、男子21チーム女子20チーム(校)が7月1日から始まったリーグ戦後にトーナメント形式で、それぞれ上位6チームが湘南ブロック大会へ進みます。
7月21日からのブロック大会では、鎌倉地区から各5チーム、茅ヶ崎・寒川町地区から各5チーム、計16チームずつによる、トーナメントで上位各4チームが県大会へ進出できます。
このようにして中地区各2、川崎地区各4、県西地区各2、相模原地区各3、県央地区各2、横須賀地区各2が選ばれて、県大会に出場します。
一方男女とも164チームが参加する横浜市は、7月7日から予選が始まりましたが、オール・トーナメント形式のため最高8回戦となり、7月25日までかかってしまい、そこで選ばれた12チームが、直接県大会出場となる訳です。
7月25日は、横浜文化体育館で行われた横浜市総体最終日、5・7位決定戦、3位決定戦、決勝戦が行われました。
◆女 子
・5・7位決定戦 今宿中54-34中和田中 旭北中55-47深谷中
・3位決定戦 豊田中55-52旭中
・決勝戦 戸塚中51-48鶴ヶ峯中
戸塚は3Pを含む外からの攻撃が中心なのに対し、鶴ヶ峯中はI/S(インサイド、主にフリースロー・レーン内の色が違う地域)の#5佐藤真美子(3年174㎝)にボールを集める一方、外から#4近藤真弓(3年164㎝)の攻撃も良く常にリードする展開。
第3ピリオドでは、33-32と一度は逆転したものの、鶴ヶ峯中はI/Sにボールを集めながらディフェンスでプレッシャーを強くし、速攻を連発して再び逆転しリードを奪い、その後接戦が続きますが、最終ピリオドに戸塚が逆転、更に強いディフェンスから相手のミスを誘い、一気に10点差をつけて逃げ切りました。
◆男 子
・5・7位決定戦 戸塚中48-35名瀬中 鶴ヶ峯中44-42旭中
・3位決定戦 東永谷中68-58川和中
・決勝戦 原中50-40豊田中
5月の横浜市選手権では、決勝戦で101-17と圧勝している原中ですが、得点源のI/Sへのディフェンスを豊田中が変えてきたためか、シュートが入らず苦しい展開。
豊田中がリードしたまま進んだものの、得点源の#11がファールアウトになると得点が止まってしまった。ここから原中の逆転劇が始まった。得点源のI/Sで3連続得点をし、43-38と逆転から一気にリードを奪い50-40で逃げ切りました。
横浜市164チームから、男女12チームが県大会へ出場しました。(下記のとおり)
【男子】
原中、豊田中、東永谷中、川和中、戸塚中、鶴ヶ峯中、名瀬中、旭中、領家中、中田中、西本郷中、中川中
【女子】
戸塚中、鶴ヶ峯中、豊田中、旭中、今宿中、旭北中、中和田中、深谷中、名瀬中、原中、釜利谷中、新田中
■第51回神奈川県中学総体
県大会は、7月28日~31日まで横須賀地区で行われました。
トーナメント後に男子は原中、横須賀地区代表・坂本中、湘南地区代表・アレセイア湘南中(以下アレセイア)、県央地区代表・海西中の4チームが決勝リーグへ進みました。
豊田中は、残念ながらトーナメント決勝でアレセイアに54-79で敗れ、鶴ヶ峯中もトーナメント決勝で海西中に44-57で、東永谷中は2回戦で坂本中に66-100で敗退しています。
女子は鶴ヶ峯中、相模原地区代表・相模女大中(以下相模女)、県西地区代表・鴨宮中、川崎地区代表・井田中の4チームが決勝リーグへ進みました。
戸塚中は、優勝候補の相模女にトーナメント決勝で45-67、豊田中もトーナメント決勝で鴨宮中に51-59で敗れています。
トーナメント組み合わせと結果はこちらから
◆男子決勝リーグ
各2ゲームが終わって以下の通りで、上位2チームが関東大会へ出場できます。
・原中 vsアレセイア42-65、vs海西中86-51(1勝1敗)
・海西中 vs坂本中33-76、vs原中51-86(0勝2敗)
・アレセイア vs坂本中66-71、vs原中65-42(1勝1敗)
・坂本中 vsアレセイア71-66、vs海西中76-33(2勝0敗)
この段階で一番有利なのが、坂本中。原中は、最終ゲームの坂本中に勝ち、尚且つアレセイアが海西中に負けることが関東大会出場の条件です。
坂本中vs原中
原中はディフェンスが良いものの、攻撃ではシュートまで持って行けず苦しい立ち上がり。一方坂本中は、例によってビッグガードの#4田中力(3年186㎝)が、外から撃ってくるものの、確率は良くないが打っている本数が多い上、3Pも多いため得点は多くなります。
坂本中は、#4田中だけではなく#6川崎優大(3年170㎝)もリングにアタックすれば、原中は、#16高橋快成も積極的にATB(Attack The Basket)を仕掛け、第3ピリオド後半お互いやっとシュートが入るようになりました。
47-43坂本中リードで迎えた最終ピリオド、原中は#16高橋がドライブを仕掛けて頑張ったものの、坂本中の#4田中がこのピリオドだけで17得点、1ゲームトータル56得点の活躍をして、68-57で勝ち優勝しました。
アレセイア中vs海西中
立ち上がりから#15内田蒼(2年178㎝)の得点で、33-21とアレセイアが前半からリードし、後半#4田中未来翔(3年176cm)と#5井上水都(3年183㎝)の活躍で、海西中を突き放し68-48で勝ち、2勝1敗で関東大会出場を決めました。
◆女子決勝リーグ
各2ゲームが終わった時点の成績は以下の通りです。
・鶴ヶ峯中 vs鴨宮中55-28、vs井出中75-47(2勝0敗)
・相模女 vs鴨宮69-53、vs井出中59-35(2勝0敗)
・鴨宮中 vs相模女53-69、vs鶴ヶ峯中28-55(0勝2敗)
・井出中 vs相模女35-59、vs鶴ヶ峯中47-75(0勝2敗)
この段階で、鶴ヶ峯中と相模女の関東大会出場は決定しており、最終戦は優勝を決める戦いとなります。
相模女vs鶴ヶ峯中
今年の相模女は、例年と違ってI/Sでの得点が多い。このゲームも、175㎝の#6山口希乃夏(3年)からゴール下の179㎝#5松崎怜那(3年)へのパスを通し、得点を重ねます。I/Sでの高さでは負ける鶴ヶ峯中は強い当たりのディフェンスと#4近藤の3Pと#15佐藤桃菜(2年158㎝)で対抗し前半は22-16とリードしました。
しかし後半は、相模女#4土屋文乃(3年160㎝)のシュートで得点する一方、強いディフェンスで第3ピリオドを4点に抑え33-26と引き離し勝負がついたかと思いましたが、鶴ヶ峯中は、#5佐藤がゴール下で粘り、最後まで接戦となりました。残1.4秒相模女は、#5松崎がプットバック(オフェンス・リバウンドを獲ってシュート)を決め、46-42で逃げ切り優勝しました。
こうして男子は、坂本中とアレセイア中、女子は、相模女中と鶴ヶ峯中が、神奈川県代表として関東大会へ出場しました。
◆第47回関東中学校バスケットボール大会
関東大会は、8月8日~10日まで山梨市の小瀬スポーツ公園体育館と緑ヶ丘スポーツ公園体育館で行われました。
上位4チームが8月23日~25日まで沖縄県で行われる第47回全国中学校バスケットボール大会(通称 全中)に出場できます。
◆女 子
1回戦 鶴ヶ峯中38-50所沢山口(埼玉県)
相手は埼玉県の強豪校の一つですが、ファールが多く怪我人が出たのも誤算で、第4ピリオドにリバウンドを支配できず敗れました。
2回戦 相模女中67-52小山三中(栃木県)
高さに勝る相模女中が、I/Sを支配するとともに#8佐藤ほなみ(3年161㎝)のジャンパーで、前半47-25とし、第3ピリオドで小山三中ディフェンスに苦しめられたものの、最終ピリオドはI/Sを支配し、全員出場で勝利しました。
準々決勝 相模女中59(延長)68八王子一中
ここで勝てば全国大会出場です。とは言え、相手は強豪の八王子一中です。
何度もゲーム(試合)をやっており、ほぼ五分の対戦成績で、お互いの手の内が判っているチーム同士の対戦。
相模女中は#5松崎と#6山口、八王子一中には#18森美麗(1年179㎝)と#15鈴木月渚(2年173㎝)と言うように、お互いBig Manを複数擁するチーム。
ほぼ互角の戦いながら、第1ピリオド残3分45秒6-10の時に、相模女中#5松崎が足首を軽く捻挫してベンチに下がると、八王子一中は#4青野美玖(3年171㎝)がATBや3Pで、また#18森がオフェンス・リバウンドを支配すると、相模女中はI/Sを攻められず外からのシュートしかできず、ここで一気に11-18とリードされ、第1ピリオドを終了します。
これが後まで響くことに。
相模女中#5松崎が戻った第2ピリオド以降は、互角の展開となり接戦となりました。
残4秒59-59の同点で、相模女中CTO(タイムアウト)後のスローイン。
相模女中は、#5松崎へパスを渡すのは誰もが考えていることで、当然に相手もマークしてきます。八王子一中#18森がフルフロント(オフェンスの前に立ち、パスを通させないディフェンス)する頭越しの直接ループパスを狙い、見事キャッチしたものの、#18森は押されてバランスを崩した上ブロックされてしまい、笛の替わりにブザーが鳴り響きオーバータイム(延長戦)へ。
オーバータイムでは、いきなりバスカン(シュートを決められ、尚且つそれに対しファールをすること。得点となり更にFT(フリースロー)が1本与えられる)+AND1を決められ、八王子一中ペースに。更に#5松崎が些細な触れ合いをファールに取られてファールアウト(5反則退場)になり一巻の終わり。
全国大会出場はなりませんでした。
因みに、八王子一中は勝ち進み優勝しました。
相模女中・田島コーチ
「今年に入って、なんどもやっていてプレスで来るのは判っていたがやられてしまった。センターの#5松崎が捻挫して下がった時に差を広げられたのが痛かった。ただ2年生センター#16美口まつり(175㎝)が頑張ってくれたのが収穫です。ガードの#8佐藤ほなみ(3年161㎝)が捻挫で引っ込んだのが誤算だった。相手がゾーン(中学はゾーン・ディフェンスが禁止になっています。ゲーム中、八王子一中は1度反則を取られました)でも、それを攻められなくてはいけないと思っているので、それは言い訳にはなりません。
◆男 子
今や日本のスーパースターとなった#4田中力を擁する坂本中は、今大会の優勝候補の筆頭でした。
しかし、まさかの初戦敗退。
相手の梅丘中は、昨年の優勝を含めこの4年間で3度もファイナル4に残っている名門チームです。特に染谷コーチは、百戦錬磨の強者です。
いやな予感はしていましたが、、、
坂本中68-80梅丘中(東京都世田谷区)
坂本中は、例によって#4田中のドライブでのATBや3Pを撃ちますが、梅丘中の強く複数のディフェンダーに手こずり、確率が低く得点が伸びません。
梅丘中は、ガードの#8里中陽生太(3年160㎝)と#7北村遥人(3年161㎝)の3PとATBが決まり常にリード。途中#4田中は自分にディフェンスを引き付けて、アシスト役に回ったものの、高確率の梅丘中のシュートに対抗出来ませんでした、#4田中はゲームハイの45点得点。
そうなると期待したいのがアレセイア中。
2回戦 アレセイア中79(再延長)-73神根中(埼玉県川口市)
I/Sを攻める神根中とアウトサイドからのシュートが多いアレセイア中、と言う対照的なチームの対戦は、再延長までもつれ込んだが、最後まで力を発揮できたアレセイア中が、#5井上22得点、#4田中19得点の活躍で勝利しました。
準々決勝 アレセイア中56-47小山城南中(栃木県小山市)
184㎝の#7永井智佳滋を擁する小山城南中に対し、神根中戦と変わって#4田中と#5井上がI/Sを攻め、リードする展開に。
最終ピリオドは、#7永井にゴール下を攻められ追い上げられたものの、落ち着いたゲーム運びで危なげなく勝利し、アレセイア中は、全国大会出場を決めました!!!初出場です!
準決勝 アレセイア中66-46相生中(群馬県桐生市)
このゲームでは、2年の#14更科陽(170㎝)と#15内田蒼(178㎝)が中と外で活躍。更に、強いディフェンスで相生中を苦しめ、余裕で初の決勝進出を果たしました。
決勝 アレセイア中72‐57実践学園中(東京都)
当初は、実践学園中の強いディフェンスで主導権を握られたものの、アレセイア中は3年の#4田中と#5井上のATBで逆転し、その後もI/Sで#15内田が得点を重ね互角の展開で後半へ。
アウトサイドの攻撃が多い実践学園中に対してアレセイア中は、I/Sで得点してリードを奪い、10点差を付けて最終ピリオドへ。#14更科と#4田中の3Pで点差を広げて、15点差で優勝しました。
アレセイア中は初優勝で、神奈川県男子としては昭和56年の汲沢中(確か佐古賢一が居た時)以来の優勝となります。
男子神奈川県としては、昨年の福井全中には豊田中が出場しています。
◆ビーコル・トピックス◆
今シーズンは既に始動していますが、新たにPF#15佐藤託矢(33歳198㎝)とPG#21田渡凌(23歳180㎝)の2人の日本人の加入が決まりました。
外国人に関しては、SF/PF#4ジェフリー・パーマー(通称JP、31歳203㎝)とC#42ジェイソン・ウォッシュバーン(通称Jウォッシュ、27歳208㎝)の2人の残留が決まっています。
ビーコルは当初からのポリシーで、選手の変更は少なくしてきました。
まして昨シーズンは、Bリーグへの移行に伴いメンバーのレベルアップのため大幅に入れ替えをしたため、チームとしての完成度は低いものでした。
そのためには、同じメンバーで数年かけて作り上げた方がよいのです。
佐藤は、#5湊谷安玲久司朱(通称アレク)同様、洛南高→青山学院大→三菱電機(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)と言うバスケットのエリートコースを歩んできており、大学時代は大型3Pシューターとして有名でした。
198㎝102㎏のがっちりとした体格は、大型日本人だけではなく帰化選手にマッチアップさせるにはもってこいです。
田渡のことは個人的に昔から知っていました。
世間では、三遠の3Pシューター田渡修人の弟として知られていますが、私には、東京の名門校・京北高の田渡優監督の息子「田渡3兄弟」の末っ子と認識していました。父親の田渡優とは旧知の中で、20年近く前には、自宅に新設するバスケット・ボードに私がイラストを直接描いたこともありました。
選手としては京北中時代に、スピードが有りシュートも上手くバスケットIQが高いPGとしてデビューし、京北高へ進み全国でも有名になりましたが、進学先はアメリカでした。
若い時にアメリカを始めとする海外でバスケットをするのはとても良いことだと思います。ただ、当初予定していた学校へは入れず迂回したものの、それを乗り越えたこと、そして強いアメリカ人や多くの国の選手と対戦してきたことは、プレーだけでなく精神的にも良い影響を与えているはずです。
#0細谷将司(通称マーシー)とのPG争いになるのか、2ガードになるのか判りませんが、スピードではBリーグナンバーワンのPGデュオとなるでしょう!
攻めのマーシーとPG的田渡、楽しみなPGデュオです!
さあ残るは外国人1人、どんな選手になるのでしょうか?
そろそろ発表が有っても良い頃ですね!!
*ポジションについての注釈
PG:ポイントガード
コート上での司令塔。身長が低い選手が多いが、頭脳明晰で俊敏な選手が多い。トップと呼ばれるリングから一番離れた場所でプレーする。「1番」とも呼ばれます。
SG:シューティング・ガード
身長は低いが得点力のある選手。PGと同じような場所でプレーする。3PもATBもする。「2番」と呼ばれます。
SF:スモール・フォワード
身長の高いSG。ウイングと呼ばれる45度やコーナーでプレーする。SGとの違いはリバウンドに参加するかしないか。「3番」とも呼ばれる。
PF:パワーフォワード
I/Sでプレーし、シュートだけじゃなくリバウンドも大事な仕事。センターと役割は近いが、身体を張ってプレーするため、センターより身長は低く体重が重い選手が多い。「4番」とも呼ばれる。
C:センター
I/Sでプレーする。チームで最長身者が多い。昔は身長が高いだけで運動能力の低い選手を起用していましたが、最近は身長も運動能力も高い選手が多くなり、PFやSFにコンバートされるのでNBAでは少なくなっている。「5番」とも呼ばれる。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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