vol.115「ビーコル新ヘッドコーチ」
世間はやっと暖かくなってきたと言うのにビーコル(横浜ビー・コルセアーズ)は寒い日が続いています(涙)
2月4日(土)千葉(千葉ジェッツ)戦に勝って以来、3月18日(土)大阪(大阪エヴェッサ)戦での勝利以外は、負け続け、1勝13敗と言う成績です。
理由は簡単です。前号で書いた通り、怪我人続出で得点できなかったことです。
つまずきの初めは、2月4日(土)千葉戦①に勝った翌日の、2月5日(日)千葉戦②終盤に、#42Jウォッシュ(ジェイソン・ウォッシュバーン)が捻挫してからです。
翌節の秋田(秋田ノーザンハピネス)戦では、#2カズ(高島一貴)が背中を痛め欠場し、その翌週の北海道(レバンガ北海道)戦では、更に#0マーシー(細谷将司)が肉離れで欠場となり、スタメン3人が欠場と言う事態となったことは、先月書いた通りです。
それが響いて平均得点が、秋田戦含むの13ゲームで、12.6点も下がったのです。
そして、#42Jウォッシュが欠場したため、#4JP(ジェフリー・パーマー)と#10パプ(ファイ・パプ月瑠)に負担が大きくのし掛かってきた結果、この二人のパフォーマンスが落ちてきました。
敗戦が続く中、言われてきたのが、残3分にガタっと得点できなくなる、と言うことです。
実際、vs川崎(川崎ブレイブサンダース)戦①までのデータを取ると、#1タク(川村卓也)、#4JP、#10パプの最終第4Q(クォーター)でのパフォーマンスが、極端に下がっていました。
#1タクは、得点こそ下がらなかったものの、3P(スリーポイント)の確率が、極端に下がっています。#4JPは、得点も落ち3Pの成功率に至っては、ガクッと落ちています。#10パプは、得意のオフェンス・リバウンドの数が、下がっています。
3人とも最終第4Qは、きつそうな表情が多く、あの#10パプですら肩で息をしていて、リバウンドへ入れる状態ではありませんでした。
さて、このところビーコルが慌ただしくなってきました。
前述の千葉戦②以来、勝てなくなり、更に3月11日(土)琉球(琉球ゴールデンキングス)戦①では、残18秒に青木ヘッドコーチが、4回目のタイムアウトを請求したとして、あり得ないテクニカル・ファールを取られ(後日リーグからは、謝罪のコメントが有りました。)その結果、FT(フリースロー)を入れられ、逆転負けを喫しました。
青木ヘッドコーチに代わり、尺野アシスタントコーチが代理ヘッドコーチとして、18日(土)の大阪戦からビーコルの指揮を執ることになりました。そして、3月31日(金)に尺野将太氏がヘッドコーチに就任しました。
ヘッドコーチとしての初采配、それは4月1日(土)のvs川崎戦で、早速ニュースタイルのビーコルを見ることができました。
神奈川ダービーと呼ばれたvs川崎戦、SLAM DUNKでお馴染みの、井上雄彦先生のイラストのステッカーが、入場者に配られました。
どう変わったのか?
大雑把に言うと、それまでは単純に、#1タク頼み。それも、素直過ぎるほど単純に、#1タクにハンドオフ(Hand Off)、つまりスクリーンでボールを手渡すと言うやり方でした。私はこのプレーが大嫌いでした。(笑)
手渡しと言うことは、ディフェンスも居るので、半径1m程のところに図体の大きい選手が4人も居ることになります。#1タクは、ボールを受け取り直ぐシュートしたり、味方をスクリーンにしてドリブルで抜いたりしますが、これって幼稚過ぎるし、物凄くエナジーを使うため、徐々に体に負担が掛かり、終盤で疲労が溜まってしまいます。
ところが、川崎戦①では、プレーが大きく変わりました。
前半は、川崎のエースキラー長谷川にマッチアップされていたこともあり、#1タクにはボールを渡さず、ボール回しから、I/S(ゴール下周辺)の#10パプにボールを集めました。シュートは入らなかったものの、川崎ディフェンスは、怪訝に思った筈です。
#4JPが3Pを決め、#1タクがスピンターンで川崎#33長谷川からファールを取ったり、I/Sとアウトサイドをうまく使い分けて得点し、メンバーも早めに交代しながら第1Qを22-24と珍しく立ち上がりから飛ばしたゲームでした。気合が入っていた、と言うのか、、、
第2Qは、#42Jウォッシュが、I/Sで活躍して、直ぐに引っくり返し、前半を43-38とハイスコアで、琉球戦①以来、久しぶりに前半をリードして終了しました。
流石に後半になると川崎は、リーグ屈指の強いディフェンス力で抑え、アジャスト(相手の戦略に対し修正すること)してきて、68-85で敗れはしましたが、ビーコルらしいバスケットが前半まで、それもディフェンスが強い川崎相手にできたことは進歩だと思います。
前半、#1タクはたったの2得点でしたが、それでも良いゲームができたことは、ビーコルにとって良いことだと思います。
真面目で聡明な尺野ヘッドコーチの人柄がよく出ているインタビューです。
琉球戦②では、打って変わってロースコアの展開になりました。前半は25-30でしたが、早い時期から#3カバ(蒲谷正之)や、#21ジョー(満田丈太郎)を起用するなど、新しいビーコルを見せてくれました。
新しいビーコルと言えばもう一つ
練習生だった岩田涼太と、2月28日(火)に契約しました。年齢は25歳です。平塚市金目ミニバスケットクラブから金旭中、そして東海大相模高では、インターハイおよびウィンターカップでベスト8になり、その後は、東海大へ進み、インカレで優勝しています。
早速、琉球戦②残1分39秒に、#21ジョーと変わってコートに出てきて、いきなりシュートを撃ったのには驚きました。入りはしませんでしたが、良い度胸です。
「神奈川ダービー」と名付けられた4月1日(土)、2日(日)の2日間、実に8千人にあと一歩と言う、7,949人のお客様にいらしていただきました。4月2日(日)の入場者数は4,216人で、今季最多入場者数でした!!
4月6日(木)アソシエイトコーチとして、古田悟氏が就任しました。アソシエイトとは、ヘッドコーチと同列扱い、又はヘッドコーチは置かず複数のアソシエイトとすることがあります。
古田氏は、愛工大名電高でウィンターカップ優勝、インターハイ準優勝しました。その後、日体大へ進み、三菱電機入り、ユニバーシアードでは、準優勝したゴールデンエイジです。その後、2011年までトヨタ自動車でプレー、世界選手権では主将を務め、年間ベスト5に選ばれた大型PF(パワーフォワード)でした。
とは言え、4月6日(木)現在、ビーコルは下位4チームによる、「残留プレーオフ」圏内に突入しています。2月から1勝13敗なので、これもしょうがないのですが、ビーコルは他チームのことより、自分たちは何をすべきか、やるべきことをやる、と言う状態で、コーチも選手も前向きに考えています。前へ進むのみです!
残留プレーオフに関して強気のコメントする尺野ヘッドコーチ
次回ホームゲームは、4月22日(土)23日(日)新潟(新潟アルビレックス)を迎えて平塚市トッケイセキュリティー平塚総合体育館で行います。
■高校関東新人大会
2月11日(土)、12日(日)の二日間、埼玉県で「平成28年度 第27回関東高等学校バスケットボール新人大会」が開催されました。
神奈川県からは、男子は、県立厚木東高(以下厚木東)、アレセイア湘南中学高(以下アレセイア)、女子は、県立座間高(以下座間)、県立元石川高(以下元石川)が、参加しました。
男子は、アレセイアが第1回戦で、栃木県立宇都宮工業高を101-62で破ったものの、2回戦は、優勝した千葉県船橋市立船橋高に67-86で敗れました。
一方、神奈川県1位の厚木東は、1回戦、栃木県の文星芸術大附高を87-66で破り、2回戦も88-77で日本航空高を下して、準決勝進出を果たしました。準決勝の相手は、東京の実践学園高を86-74で破ってきた、埼玉県の正智深谷高。
大型で、外からのシュートも良く入るチームです。リバウンドからの速攻を出され、前半29-43と差を付けられたものの、積極的なディフェンスでリズムを掴み、55-57と2点差まで追い上げて最終第4Qへ。
残4分に66-66と同点にしたものの、シュートが入らなく、リバウンドも獲れず、そこから速攻を連発され離されてしまい、72-81で敗れてしまった!
一方女子は、座間が東京成徳大高(以下成徳)と対戦しました。
座間の最高長身者は、#14幸島里奈(藤沢市立鵠沼中)の174㎝なのに対し、成徳は、182㎝の#7大原咲織を筆頭に177㎝#8佐藤希、174㎝#9三好青花とサイズがあります。更に、ガード陣も高く、ディフェンスプレッシャーも強いチームです。
成徳は、I/Sの#7大原にボールを集め、着々と得点するのに対し、座間は、攻められずPG(ポイントガード)#4河村くるみ(横浜市立戸塚中)も、ファールトラブルで思うようなディフェンスができず、徐々に差が開き47-69で敗れてしまった。そして、この成徳が、東京の八雲学園高を決勝で75-68と破り、優勝しています。
さて、初出場の元石川は、中学時代に県大会にも出場したことが無い選手も居る雑草チームで、初の関東大会出場と言うことでかなり舞い上がっていました。ゲーム前「皆、緊張していて、のんびりしているのは俺だけ(笑)」と言っていたのは内藤学コーチ。
最高長身者が、2年生#6三上さくら(有馬中)の166㎝の元石川に対し、相手の茨城県立竜ヶ崎第二高(以下竜ヶ崎)も、最高長身者が167㎝と同じようなサイズのチーム。しかし、県代表として出場するに値する強いオールコートプレスを敷きます。
それに対し、緊張している元石川は焦ってしまい、普段なら何でもないボール運びをミスし、引っ掛けられ中々ボールを運べず、5分間で2-14とされ、CTO(タイムアウト)を取りますが、それでも選手のパニックは収まらず、結局9-22で第1Qを終えました。
第2Qになり、竜ヶ崎のプレスとスピードに慣れて来て、シュートまで持ちこめるようになったもの肝心のシュートが入りません。
一方の竜ヶ崎も、シュートが入らず徐々に元石川のペースになり、前半を24-28と追い上げて終了しました。
外のシュートが無くATB(Attack The Basket.ドリブルで突破すること)中心の竜ヶ崎のプレーに対応できるようになり、第3Qも同じような展開で3点ビハインド。最終第4Qへ突入しました。
元石川は開始早々に、1年生#17丹羽風春天(日吉台中161㎝)の3Pで追いつき、更に残6分には、2年生#10齋藤つばき(山内中162㎝)が難しいレイアップを決め、41-40とやっと逆転に成功したものの、そこから引き離すことができずシーソーゲームが続きます。
しかし、1分を切ってから竜ヶ崎の#4倉持彩弥が、キャプテンの意地を見せました。それまで殆ど外していたATBを決め、更に同じくATB時のファールで得たFT(フリースロー)も決め、43-49と差を広げられます。残15秒に、#10齋藤が3Pを決めたものの焼け石に水で、46-52で初戦敗退となってしまいました。
平常心でプレーをしていたら勝てた筈でしたが、そうじゃないのが関東大会。そしてこれからのインターハイなどの全国大会なのです。
■JX-ENEOS 第30回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2017
神奈川県は、男子4年ぶり5回目の優勝!!
昨年は、最高長身者190㎝、スタメン平均180.6㎝と超大型ながらBest4止まりだった男子でしたが、今年は決勝で、59-57で勝ちました。
今年は、#14田中力(横須賀市立坂本中2年、185㎝)を中心とする、いやワンマンチームかな。(笑)それだけ個性が強い田中(力)です。
185㎝と高校生並みの身長と体格、大学生並みの技術とシュート力を持っています。簡単に外から3Pは撃てるし、強いドリブルでリングへアタックをかけるし、パスも捌けますし、バスケットIQもかなり高く、桁外れの選手です。
昨年も1年生ながらメンバーに選ばれていましたが、ドリブルが中心のプレーでミスの多いお調子者としてメンバーから愛されていたようでした(笑)
夏の県中学総体では、ジュニアオールスターのチームメイトだった愈龍海(当時190cm)の厚木中に勝ち関東大会出場を決めています。
この総体時点では、フォワードとしてチーム・ファーストのプレーが出ていましたが、今回はPG(ポイントガード)として常にボールをコントロールしており、完全に田中(力)中心のチームとなっていました。
それじゃ他メンバーはレベルが低いのかと言うと、決してそんなことは無く、#7田中未来翔(アレセイア湘南中2年178㎝)は、今回の優秀選手にも選ばれたように、高い能力を持ったガードです。
神奈川vs鳥取戦
今回は、スケジュールの関係で28日(火)のリーグ戦、vs鳥取県戦しか見られませんでした。
神奈川のスタメンは、#6北薗竜馬(横浜市立豊田中2年178㎝)、#7田中(未)、#8佐藤悠真(横浜市立東永谷中2年180㎝)、#13御坊広樹(座間市立相模中2年184㎝)、#14田中(力)で、スタメン平均身長180.6㎝。
相手鳥取は、最高身長者が181㎝、他は170㎝が多く、サイズ的には圧倒的に神奈川が勝っています。オフェンスとしては身体能力が高く、スピードあるドリブルとシュート力を持つ鳥取#15杉信イフェアニ(1年170㎝)が中心に個人攻撃が中心になります。
鳥取は、積極的にドリブルでペネトレイトして来ますが、高さに勝る神奈川は、シュートを殆どブロックして完全に神奈川ペース。と言いたいのですが、神奈川の悪いところは、相手を見切っていて、勝てば良いんだろう的なプレーが多く、大差を付けられないどころか、終盤にはプレスと3Pで追い上げられる始末。それでも69-63で、余裕で逃げ切りましたが、不安が残ったゲームでした。
しかし、それは杞憂だったようで、相手が強くなるにしたがって、しっかりとプレーでき、長崎に59-57で逃げ切って優勝しました。
最終日については、JBA公式サイトをご覧下さい。
ジュニアオールスター2017 大会最終日 男子:神奈川県(4年ぶり5回目)、女子:大阪府(初)が30回記念大会を制し閉幕
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、
掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。