vol.107「中学と日本代表女子」
高校生のインターハイ予選が終わっても、バスケット・シーンはまだまだ続きます。中学生は7月初旬から市大会が始まりブロック大会、そして県大会と続きます。その前に今年はリオ・オリンピックが有るため、出場する女子代表チームがアフリカ1位のセネガル代表を招いて強化ゲームを行いました。
■バスケットボール女子日本代表国際強化試合2016 三井不動産 BE THE CHANGE CUP■
アフリカ代表としてオリンピックへ出場するセネガルのスタメン平均身長は、日本より7cm程高く、フロントライン(ゴール周辺でプレーする選手)では約8cm、さらに最長身者では13cmの差が有る長身チーム、と言っても世界では特に大きいと言う訳ではありません(汗)
セネガルにとっては、スピードある日本はオリンピックの準備として良い練習相手となります。
◆第1戦 7月5日(月) @とどろきアリーナ
日本代表のスタメンはPGに吉田亜沙美(165cm)、Fに栗原三佳(176cm)、本川紗奈生(176cm)、Cに高田真希(183cm)、間宮佑圭(185cm)の5人、セネガルには168cmのPGもいますが、183cm、185cmそして198cmとフロントラインは断然大きい選手です。となると、優位なI/S(インサイド、ゴール下の四角く区切られた辺り。ペイント内とも言います)を積極的に攻めてくるのかと思いきや、3Pも含め外から攻めてきます。
オリンピック本番では日本みたいに小さいチームは無いので、スピードやディフェンスの強さに対応するために外からの攻撃を中心にしたのかな、と思います。世界ランク24位ですが、シュートは予想以上に正確でした。
対する日本は3Pが武器ですが、I/Sも積極的に攻撃しないと相手ディフェンスは広がって3Pが撃ち辛くなるため、#8高田真希(183cm)がスクリーンを使ってハイポストからのシュートで先制します。さらに得意の3Pは#4近藤楓(173cm)と栗原が好調で、前半を44-33とリードして終了します。
後半立ち上がりセネガルに追い上げられたものの、栗原がFT(フリースロー)を3本とも決め、さらにリバウンドからの速攻が決まり52-44と差を開き、チームとして落ち着くと再び差を付け始め、3Q残3分には横浜市岡津中出身で県立金沢総合高からJXへ進んだ#5宮澤夕貴(182cm)が登場、2得点2リバウンドで81-71の勝利に貢献しました。
◆第2戦 7月8日(金) @小田原アリーナ
第1戦で楽勝だったため、見なくても良いかと思ったのですが、セネガルは日曜日に来日したばかりで時差ボケや長旅の疲れが第1戦で出て、あれはセネガルの実力では無いかもしれないと思い、第2戦も行ってきました。
小田原アリーナ初となるバスケットの国際ゲーム、さらに人気の日本女子代表チームとあって3,197人と満員の会場でのゲームは負けられない思いから、セネガルは思ったとおり202cmのダーウをスタメンに起用してI/Sを攻めてきました。これは日本にとってはオリンピックでの長身者対策にはピッタリの練習相手となりました。
密着したディフェンスと早いカバーでI/Sをしっかりと守り、オフェンスではパス回しから積極的にATB(Attack The Basket、ドリブルで攻め込むこと)を繰り返し、リードを奪いました。経験を積ませるため、その後は全員を起用したことと、セネガルの外のシュートが入り出したこともあり23-23と同点に追いつかれましたが、スタメンに戻すと、強いディフェンスでI/Sを固める一方、間宮、高田がI/Sで得点し36-26と離して前半を終了し、後半も内外共に強いディフェンスでセネガルに攻撃リズムを作らせず、83-54と圧勝しました。
◆ゲーム後、セネガルのゲー・コーチのインタビュー
「日本のディフェンスに圧倒されました。今回はアジアのバスケットを研究できました。アフリカとはやり方が違うと感じました。」
女子 日本vsセネガル戦
内海コーチ インタビュー
女子日本代表
吉田キャプテン インタビュー
日本女子代表はこの後、シアトルのプロバスケットチーム(WNBAシアトル・ストーム)に所属している期待の長身・渡嘉敷来夢(193cm)が合流し、オリンピックに臨みました。
オリンピック第1戦は、日本時間7日(日)に世界ランク10位のベラルーシと対戦し77-73で勝利を収めました。
詳細はこちらをクリック → 【ハイライト】12年ぶり出場の日本 初戦勝利 バスケットボール女子
◆今後のスケジュール(8月11日現在)
8月12日(金) 朝5:45~ 予選④ vsオーストラリア (世界ランク2位)
8月14日(日) 朝5:45~ 予選⑤ vsフランス (世界ランク4位)
※予選ラウンドは「NHK-BS1」にて全試合生中継されます!
■中学大会■
7月といえば中学大会の季節です。まずは横浜市の大会から、、、、
◆横浜市立中学校総合体育大会
女子162チーム、男子164チームと神奈川県下で最大の参加数を誇り、他地区では市大会後にブロック大会を行う中、横浜市だけは市大会から直接県大会へと繋がります。
<女 子>
ベスト8へはノーシードから新田中が進出し、前回の横浜市選手権大会から平戸中が9位へ沈みました。
戸塚vs本郷
決勝は#1シード鶴ケ峯中vs#2シード旭北(あさひきた)中の対戦となりましたが、I/Sに2枚の大型選手を持つ鶴ヶ峰中が49-33で勝ちました。
旭北タブレット
優 勝 鶴ヶ峯中
準優勝 旭北中
第3位 本郷中
第4位 戸塚中
第5位 希望ヶ丘中、今宿中
第7位 中和田中、新田中
第9位 岩崎中、豊田中、谷本中、平戸中
<男 子>
5-7位決定戦では、ノーシードの本牧中が大道中に53-52と競り勝ち5位へ、さらに東山田中も大接戦の末53-51で万騎が原中に勝っています。3位決定戦はノー・シード同士の戦いとなり、老松中が52-47で鶴ヶ峯中に勝利しました。
決勝は#1シード豊田中と#2シード六ッ川中との間で行われました。六ッ川中は昨年の優勝メンバーから六ッ川ミニバス時代全国ミニで優勝したメンバー3人が残っていて、上手くてゲーム運びが巧みなチームですが、前日の老松戦では競っていたようです。対する豊田中は好調で、5月の横浜市選手権では3年生が修学旅行で不在だったにも関わらず63-56で勝っており、前評判としては豊田中有利と言われていました。
ところがふたを開けてみると、六ッ川中が前日とは打って変わった気合の入ったプレーで、ATBも多く順調に得点するのに対し、豊田中はシュートが入りません。単純なシュートミスもありますが、一気にリードされたことで焦りもあったようで、シュートセレクションが少し早く、ベンチから細木コーチが「我慢しろ、今は我慢しろ!!」と声を掛ける場面も。
それが効いたのか一時は追い上げるものの、六ッ川中はリバウンド等から長いワンパス速攻を連発します。豊田中がディフェンスプレッシャーを掛けようと前へ出るほど、逆に長いパスで後ろを突かれる展開で差は開く一方。
最後は少し詰めたものの77-55で六ッ川中が優勝しました。
豊田中
六ッ川中
見学に来ていた高校の先生たち
優 勝 六ッ川中
準優勝 豊田中
第3位 老松中
第4位 鶴ヶ峯中
第5位 本牧中、東山田中
第7位 大道中、万騎が原中
第9位 森中、南が丘中、桐蔭学園中、今宿中
◆平成28年度 第50回 神奈川県中学校総合体育大会
男女とも32チームを4ブロックに分けトーナメントを行い、勝者4チームによるリーグ戦で行われる県総体は、登録チーム数の多い横浜市からは男女とも上記の12チームが参加しました。
今年の横浜市は、男子はそこそこだが、女子が心配と言われていました。
<女 子>
Aブロック:#1シードで横浜1位の鶴ヶ峯中が順当に勝ち進んできました。
Bブロック:横浜市4位の戸塚中が湘南地区1位の円蔵中を下し、さらに#1シードの成瀬中(中地区1位)も破り決勝リーグ進出を決めました。
Cブロック:横浜市2位の旭北中が相模原1位の強敵・相模女子大中を57-55で破り、決勝リーグへ。
Dブロック:横浜市3位の本郷中が#1シードのアレセイア湘南中を下し、決勝リーグへ。
終わってみれば心配された女子は4チームともに横浜市のチームが占めることになり、船橋市で行われる関東大会へ出場できる2チームは、どこであれ横浜市のチームということになりました。
決勝リーグは鶴ヶ峯中が3勝0敗で問題なく船橋行きを決めましたが、他3チームが1勝2敗と同率になったためこの3チーム間での勝率が問われますが、3者ともに1勝1敗のため、同じく3者間でのゴールアベレージ(総得点/総失点)の勝負に。接戦が多い中、本郷に3点差で敗れたものの、旭北中を7点差で下した戸塚中が2位となり船橋行きを決めました!
*ゴールアベレージ計算
戸塚中 (56+48)/(49+51)=1.04
旭北中 (49+56)/(56+56)=0.982
本郷中 (51+56)/(48+61)=0.981
<男 子>
Eブロック:横浜市1位の六ッ川中が中地区1位の浜岳中を寄せ付けず、84-54で決勝リーグへ。
Fブロック:ここは超激戦でした。Vol.103で書いた3月のジュニアオールスターにスタメン出場した愈龍海(当時190cm、厚木中)と、控えメンバーだった田中力(当時184cm、横須賀市立坂本中)の対戦となりました。ジュニアオールスター時には欠点を抱えていた二人でしたが、半年たって大きく成長し、素晴らしいゲームを展開してくれました。
愈は大きな体を活かしゴール下でリバウンドとシュートに貢献、一方の田中は得意のドリブルを駆使した1on1と3Pで内外バランスよく得点、心配された精神的不安定も、決して切れることなく、疲れていてもシッカリとシュートを決める力を付けていました。
この田中を厚木中は止めることが出来ず、その上終盤になりシュートが決まらなくなり、突き放した坂本中が73-64で勝利しましたが、「両チームとも決勝リーグへ進ませてやりたい」と考えていたのは会場にいた全員だった筈です!!
◆男子 1回戦
大庭中(白、湘南2位) vs 柿生中(エンジ、川崎2位)
◆男子 2回戦
注目のカード
坂本中(白) vs 厚木中(エンジ)
その後も坂本中は老松中を下し決勝リーグへ。
Gブロック:#1シード豊田中が危なげなく横須賀地区2位の長井中を73-63で破り決勝リーグへ。
Hブロック:横浜5位の東山田中は、アレセイア湘南中(湘南ブロック1位)に55-65で敗れ、4位鶴ヶ峯中も45-54でアレセイア中に敗れ、決勝リーグへは横浜からは六ッ川中と豊田中の2チームだけとなりました。
決勝リーグでは女子とは反対にアレセイア中だけが3戦全敗となり、六ッ川中、坂本中、豊田中が2勝1敗で並び3者間のゴールアベレージ勝負となりましたが、六ッ川中に67-57と10点差を付けて勝ったのが良かった豊田中と、その豊田中に7点差を付けて勝った坂本中が1位2位となり、船橋行きを決めました。
*ゴールアベレージ計算
豊田中 (67+74)/(57+81)=1.02
坂本中 (61+81)/(69+74)=0.993
六ッ川中 (69+57)/(61+67)=0.984
■ビーコル新加入選手■
新聞報道等で既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、ビーコルはB.LEAGUE1部で戦うために選手補強を行いました。今までと違い知名度の高い選手が多いです。
一番はやはり「ミスタークラッチ」と言われる川村選手でしょう。
そして経験豊富な川崎市出身ベテラン竹田、ロングショットの得意な湊谷、秦野市出身ガード細谷、ベテランシューター高島とシュートの得意な選手ばかりです。
詳しくはこちらをクリック → ビーコルニュース
詳細は来月!!!
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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