vol.103「全国ミニとジュニアオールスター」
昔は年度末に学校関係の大会が多く開催されました。現在は年末に開催している高校生のウィンターカップは、高校選抜大会といって3月末開催です。NBLの前身である日本リーグも最終日は3月末でしたね。
さて現在はとみると、ミニバスケットの全国大会のJX-ENEOS第47回全国ミニバスケットボール大会(通称全国ミニ)とJX-ENEOS第29回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2016(通称ジュニアオールスター)の2大会が3月28日(月)~30日(水)とまるっきり同じスケジュールで開催されました。全国ミニは原宿の代々木体育館(第一体育館と第二体育館)で、ジュニアオールスターは千駄ヶ谷の東京体育館で。
困りましたねー。毎年同じなのでどちらかのスケジュールをずらして欲しいですね。確かに車なら10分程の距離ですが、両方とも公共の駐車場が少なく電車移動かタクシーということになりますからね。この辺りはJBAの指導力を発揮してもらいたいところです。
そんな愚痴はさておいて、両方ともに神奈川県代表が出場します。
ミニは各都道府県代表47+ブロック推薦1、計48の単独チームでの開催で、3チームのリーグ戦後に各リーグ最強16チームを4グループに分け、決勝トーナメントを行い各グループで優勝を決める、つまり4チームが優勝と言うことになります。神奈川は男子・菊名ミニバスケットボール・クラブ、女子・戸塚ミニバスケットボール・クラブが代表になりました。両チームともに横浜市のチームです。
ジュニアオールスターは、各県内で選んだオールスター・チーム同士の対戦です。本来ならミニバスもこのスタイルの方が良いと思います。単独チームの優勝を決めるから勝利第一主義になってしまうと思うのですが、、、、、、、
競技方法は、ミニと同じように各都道府県代表+開催地チームの48チームを3チームの16グループに分け予選リーグ戦を行い、上位1チームによる決勝トーナメントで優勝チームを決めます。
◆男子は決勝トーナメント進出!
先ずはジュニアオールスターから。
昨年優勝している女子は今年も増田泉美(178cm横浜市立川和中2年)と松崎怜那(176cm相模女大中学部1年)の二人の大型選手を揃え、佐藤もも(168cm大井町立湘光中2年)林真帆(170cm横浜市立中川中2年)、大角地黎(158cm横浜市立岩崎中2年)を中心に、走れて外から撃てる大型チームです。
28日の予選リーグ2戦目、秋田戦ではI/S(インサイド、ゴール下近辺)を上手く攻められ、逆にI/Sへボールを入れながらもシュートミスが多く立ち上がりに一気に5-16と離されてしまい、残4分にオール・メンバーチェンジで強いディフェンスに変え、更に外から思い切りの良い3Pが決まり16-27で第1ピリオドを終了。
第2Pは立ち上がりから思い切りのよい3Pを多用、シュートは入らないものの、強いディフェンスを仕掛けることで徐々にオフェンス・リズムが良くなり、27-30と追い上げて前半を終了。このピリオドは秋田を3点に抑えました。
後半もプレッシャーを掛けたりWチームで秋田のミスを誘い残2分に37-34とリードを奪ったものの、ファールがかさみ、相手にFT(フリースロー)で得点され37-43で第3ピリオド終了。
最終ピリオドはやっと3Pが決まり接戦になりましたが、シュートミスのリバウンドから秋田に速攻を出され、追いつくことが出来ず56-60で敗れました。
ジュニアオールスター女子 神奈川県(青) vs 秋田県(白)
Ando Takaoさんの投稿 2016年3月27日
ジュニアオールスター
女子 神奈川県(青) vs 秋田県(白)
このゲームを五十嵐コーチはこう振り返ってくれました。「今年は大きく、それで動けるチームで、アグレッシブなディフェンスでWチームにいったり、上手くローテーションできるチームになりました。
しかしこのゲームでは、それを秋田は逆に取ってきました。
オフェンス的には外から入れるチームですが、それだけでは駄目なのでI/Sを頑張らせましたが、(シュートミスが多く)中で得点できなかったので、中途半端なチームになってしまいました。
2月に入って土日で10日間の練習をしました。前の週は高校生が相手をやってくれ、良いゲームをして良い感じだったのですが、、、、」
リーグの1回戦で既に大阪に39-56で負けているため、決勝トーナメント進出はなりませんでした。ちなみに大阪は3位となっています。
一方男子も予選リーグで女子と同じ秋田との対戦です。
神奈川のスタートは#4萩原康平(171cm横浜市立六ッ川中2年)、#8小林優里(178cm横須賀市立坂本中2年)、#10吉澤凌雅(181cm横浜市立豊田中2年)、#13佐藤伶(183cm横浜市立六ッ川中2年)、#15愈龍海(190cm厚木市立厚木中2年)平均身長180.6cmで秋田より5.4cm高い。
サイズで有利な神奈川はI/Sへボールを入れたり、ガード陣が早いATB(ドリブルでリングに攻め込むこと)で早々と9-4とリード、更に秋田ガード陣の果敢なATBにセンターのみならずガードも上でブロックして一歩リード。これで秋田がなかへ入ってもいつでもブロックできると勘違いしてディフェンスが甘くなってきて一時は24-22と追い付かれますが、ベンチスタートのキャプテン#6柏が得意の3Pを決めるとI/Sの頑張り31-22とリードを広げます。しかし秋田はATBと3Pで追い上げ前半は43-41で終了です。
後半神奈川は強いディフェンスとI/Sを守り切り、攻めては岩澤がシュートを決め61-50で、第3ピリオドにおいてリードを広げました。
ジュニアオールスターでとどろきアリーナへ来てます。男子 神奈川県(白) vs 秋田県(エンジ)高さのある神奈川に対し小さいがシュートが上手い秋田。立ち上がりは神奈川がリードを奪ったものの、秋田はATBや3Pで対抗し一時は逆転した。神奈川は#5川上が良いディフェンスからの速攻やATBを決め 43ー41と一歩リードして前半終了。
Ando Takaoさんの投稿 2016年3月27日
男子 神奈川県(白) vs 秋田県(エンジ)
ジュニアオールスター 男子 神奈川(白) vs 秋田(エンジ)
神奈川#14鍵谷 和輝 ゴール下 でシュートを狙う @とどろきアリーナ
最終ピリオド、ミスが続くものの誰かがなんとなく得点するパターンになりました。全員が得点力を持っているものの、決定的なモノが無いんですね。I/Sも逃げたシュートばかりで入らなくファールもリバウンドも取れません(汗)。
それでも残5分には66-56としましたがその直後、秋田が得意のフルコート・プレスに出ると、その勢いに押され神奈川はミスが続き66-62と追い詰められた残4分35秒神奈川はCTO(タイムアウト)を請求。I/Sへボールを集めるが先ほど同様、逃げた体勢のためシュートが入らない!!!
それでもしっかりと守っているので秋田は簡単にシュートを決めることができないまま時間が過ぎ、残1分26秒、#6柏がトップからジャンパーを決め72-65としたところで秋田がCTO。更に残45秒の#10吉澤のシュートに対し秋田がファール、しかし#10吉澤はそれを決めバスケット・カウントとし、AND1のFTも1本決め74-70とやや安心できそうな点差になったところで秋田は最後のCTO。
残り30秒を切り、焦っている秋田のシュートは入らず後はボールを回して時間を稼ぐだけ、と思ったらいきなり(神奈川が)外からシュートを撃った。ほぼ全員が何故?と思ったはず。
当然入る訳も無く、I/Sも準備ができてないからリバウンドは秋田に獲られ、3Pを決められ74-73と一気に1点差となり大ピンチ、ここら辺りはやはり中学生と言うか神奈川人の軽い所なのか?
しかしここはユックリとボール回しファールを取り、残10秒#4萩原がFTを落ち着いて2本とも決め76-73と差を開いて逃げ切りました。
続く予選リーグ第2ゲームは福井県と対戦し79-44で勝ち、翌日の決勝トーナメント進出を決めました。
ジュニアオールスター男子キャプテンのコメント
Ando Takaoさんの投稿 2016年4月3日
ジュニアオールスター男子キャプテンのコメント
東京体育館での決勝トーナメントの相手は新潟県。極端に大きい選手は居ませんが180cmほどの動けるフォワードが中心のディフェンスの強いチームで、3Pも上手くドライブも多い良いチームです。それに対して神奈川はI/Sを攻めるもののシュートが入らず、外のシュート良くなく、常にリードされての展開で17-20とリードされて第1ピリオド終了。
ジュニアオールスター男子 神奈川県vs新潟県 1
Ando Takaoさんの投稿 2016年4月4日
ジュニアオールスター 男子 神奈川県vs新潟県 1
第2ピリオドに入ってもシュートは入らず、ディフェンス・リバウンドも取れない状態です。さらに新潟の強いディフェンスに対しATBできず、ゴール下まで攻め込めない状況が続き23-36で前半を終了しました。
後半の立ち上がりは#4萩原の3PとATBで31-39と追い上げたものの、新潟は#11齊藤(182cm)と#12渡邉(182cm)が外から、時にはATBで得点し差はもとの10点で第3ピリオドを終了。
最終ピリオドに入ってもその状態は変わらず、更に神奈川の外からのシュートも決まらず残3分には47-67と20点差になりました。流石に残り時間が少なくなると開き直れたのかシュートも思いっきり撃てるようになり追い上げたものの57-74で敗れ、決勝トーナメント1回戦敗退となってしまいました。
良い時はイケイケでも、ピンチになるとションボリすると言うお調子者気質がモロにでたゲームでした。
選手はみな能力が高い子ばかりなので、ボックスアウト等のファンダメンタルをしっかりと身に付ければ、大学でもできる子ばかりです。このまま神奈川に残って神奈川を強くしてもらいたいですね!
因みに決勝は新潟64-44福岡県で、この新潟が優勝しています。
ジュニアオールスター 神奈川男子メンバー
◆神奈川県代表は男女ともに横浜市のチーム
全国ミニは、代々木競技場の第一体育館と第二体育館の両方を使って開催されました。
先ずはミニのルールを簡単に説明しておきます。メンバーは10人以上15人までで構成され、10人をプレーさせなければならず、第3ピリオドまではアクシデント以外はピリオド中の交代は出来ません。
多くのチームは第1ピリオドと第2ピリオドで5人ずつ起用して10人枠を使い切り、後半にベストの5人で戦わせ、最終ピリオドで作戦上のメンバーチェンジを行います。10人が全員上手い選手と言うことが少ないので、後半にベストの5人が強いと逆転と言うケースは良くあります。
ジュニアオールスター男子神奈川県 松沢コーチ ゲーム後インタビュー
Ando Takaoさんの投稿 2016年3月29日
ジュニアオールスター
男子神奈川県 松沢コーチ ゲーム後インタビュー
女子はスケジュールの都合で見ることが出来ませんでしたが、予選リーグでは鳥取県、長野県と同じグループとなり鳥取には#5佐藤光(148cm)の活躍で51-30で勝ち、長野に41-48で惜敗し、長野は44-24で鳥取に勝ったため、長野が勝ち抜け、戸塚は残念ながら予選リーグ敗退してしまいました(涙)
一方男子は富山県代表・黒部ミニと三重県代表・清和ミニと同じグループです。
清和とは53-38で勝利し、同じく清和を32-28で下した黒部と決勝トーナメント進出を掛けての対戦となりました。
菊名には清和戦で15得点した174cmの#7内田蒼と言うI/Sに強いエースが居て、外もできる#1井上涼太(161cm)や#6丹後心人(158cm)、#5丸山柊馬(157cm)が居ます。
一方黒部には、160cmと大型で動けて外からのジャンパーが上手くドリブルでリングにアタックも掛けられる#4上島太陽が絶対的エースとして存在します。
第1ピリオド、菊名はI/Sの内山へボールを集めますが、マークがきつく中々ボールが入らない上、ボールが入るとWチーム、時にはトリプル・チームで圧力を掛けてくる、この辺はゾーンぽい気もするんですがねー(汗)
対する黒部は#4上島のシュートが好調で、まさかのリードをされ7-10で第1ピリオド終了です。ここで計算は狂ったものの、第2ピリオドでは第二のエース#10井上と#5丸山が頑張り逆転し、18-17で前半終了。競ってはいるものの菊名ペースの感じでした。
ミニバス全国大会 @代々木第一体育館男子 神奈川県菊名ミニ(白) vs 黒部ミニバスグリフィンズ(青)
Ando Takaoさんの投稿 2016年3月29日
ミニバス全国大会 @代々木第一体育館
男子 神奈川県菊名ミニ(白) vs 黒部ミニバスグリフィンズ(青)
全国ミニバス男子 菊名ミニ(白)vs黒部ミニ(青) @代々木競技場第一体育館
ところが後半に入ると、黒部はオフェンスでは殆ど#4上島がボールをコントロールします。たまに他の選手にパスしても、直ぐに#4上島へリターン。私が神奈川県贔屓(ひいき)と言うことも有るかもしれませんが、見ていて違和感を感じます。日本協会が打ち出した「M2M(マンツーマン)ディフェンス推進」の考え方に反していると言うか、逆手に取っていて、あまり良い感じはしません。
確かに上手く考えていて、#4上島を左サイドに置いて、残り4人は極端に右サイドに移動してグルグルと廻っていてオフボールのディフェンスを#4上島サイドに行かせない様にして#4上島の1on1をやり易くさせて、それに応え彼はジャンパーを決めたりペネトレイトで得点します。
これに対し菊名の奥山紀子アシスタントコーチは「あれに対応する(#4上島に集中する)ディフェンスも考えましたが、それじゃM2Mディフェンス推進の意義と違ってくるし、そこまでして勝ちたいとは思いません。」とキッパリ!!
一方菊名は相変わらずI/Sの#7内田にボールを入れようとしますが、逆サイドからのカバーが早く(ボールをキャッチする前にWチームされてたり(笑))得点が伸びず、27-28と逆転され最終ピリオドへ。
その状態が続きますが、中盤になり黒部は上からプレッシャーをかけると菊名はミスがでて27-34と離され、残2分42秒CTOを要求します。その後は菊名に良いプレーが出たものの32-38で敗れ、決勝トーナメント進出はなりませんでした。
ゲーム後奥山紀子アシスタントコーチは「2対2が上手くできなかった、コートが狭くてドライブのスピードを出せなかった。みんな上手くなりましたよ。始めは7番の子だけでしたから。まだまだですが、10番の子も6番の子もみんな上手くなって、良くここまで来れたって感じです!」
菊名は負けたけど、正々堂々と敗れたので泣くことは無い!
大事なことは、奥山アシスタントコーチも言っていましたが、この先高校大学で活躍できる選手になることです!!!
今月はビーコルを取り上げませんでしたが、現在10位でプレーオフ進出にはこれから負けられない戦いが続きます。
4月10日(日)は平塚に3位秋田を迎えての戦いですので、応援を宜しくお願いします。
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1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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