vol.100「連載100回目です!」
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年もご愛読のほど宜しくお願いします。
そしてこのコラムも100回を迎えることとなりました!!
思い起こせば、今から9年前の2007年2月か3月、前田さんという方から連絡が入り、横浜市体育協会のサイトに原稿を書いて欲しいと打診されました。
横浜市?
何で横浜市なの?
私は藤沢市民です(笑)
横浜市のバスケットに特化した記事は、ハッキリ言って自信がなかったです。まだ横浜ビー・コルセアーズは影も形もなかった頃ですから、神奈川県全体ならどうにか判りますが、横浜市となると厳しいな、とは思いました。
当時はNBAとかJBL等全国レベルの記事を多く書いていたため、市レベルの話題は知らないことが多すぎたからです。
色々とお話しした結果、必ずしも横浜市内のバスケットに拘らなくても良く、バスケットという競技全般について随筆的に書いて良い、ということで納得してもらいました。
そして担当になってくれたのが金沢総合高バスケット部OGの田中さんで、今でもプレーしているお嬢さんなので、話はスムーズに行きましたが、それでも初めての連絡から初出稿までは1か月半以上掛かり、アップされたのが5月2日でした。
最初のコラムはこちらです。
Vol.1 (2007年5月2日UP)
初めは2か月に1度のペースだったと思います。
上はNBAから日本のプロリーグ、大学、神奈川県の高校、横浜市中学、ミニ、ツインバスケットと、そして技術論からファッションまで、これだけ幅広く書かれたコラムは他にないと思います。ちょっと自慢です(笑)。
初期の頃は写真やイラストは全て私が持ち込まなくてはいけませんでしたが、何代目かの吉山さんが積極的にビーコルの写真を撮ってくれ、それが関さん芹澤さんへと引き継がれ、今は大変楽しています(笑)
さて本題に入りましょう。
冬の時期はバスケットが真っ盛りで多くの大会が行われているため、今月は話題を広げ、多くの大会のリポートをします。
◆ビーコル◆
先ずはビーコルの話から。
12月12、13日、西地区11位の奈良バンビシャスとの対戦。4勝しか挙げてないチームには2連勝するのが鉄則ですが、まさかの74-80と負けて1戦落とし11勝10敗となり貯金はたったの「1」。
しかし翌19、20日、当時は西地区2位(現在1位)の浜松戦では75-65で勝ち、強豪相手に1勝1敗と星を分け、その時点で13勝11敗と貯金を「2」に増やしました。まだこの時期は強豪相手なら1勝1敗で上等なのです。1月後半からは徐々にペースを上げ4月頃にピークになるようにすれば良いのです。
ところが15年最終カードの沖縄戦が思わぬことに、、、
この沖縄戦は「待望の沖縄戦」とか「ゴールデンカード」とか呼ばれましたが、創立5年目で初めて沖縄を迎えてのホームゲームに、それも12月25日クリスマス、そして会場がビーコルの聖地・横浜文化体育館と来ては嫌が応にも盛り上がらざるを得ません!
20日には関内駅で街頭PRを行ったり、ゲーム前には国歌斉唱を行ったり、DJが入ったりとイベント盛り沢山で、1階席前売り完売で迎えた26日(土)は、ついにチーム史上初の満員御礼(ソールドアウト)となりました。嬉しいことです。
B-ROSE クリスマスパフォーマンス
観客席は満員御礼
白熱した試合
ただゲームは強豪といわれる沖縄に勝つことが出来ませんでした。ケンジ(#13山田謙治)とカバ(#3蒲谷正之)が抑えられてしまったんです。
とはいえ、AHT〔ヒサ(#73久山智志)とトニー(#22カール・ホール)加入後をAHT(After Hisa & Tony)と呼ぶ〕で、かなり得点力が付いています。12月を調べると、それまでチーム得点のAvg.(1ゲーム平均)が77.9点だったものが82.3点と、4.4点も上がっています。その要因としてケンジとカバ、特にケンジの得点力アップが挙げられます。その理由は二人の3P(3点シュート)のアテンプト(試投数)が増え、確率も上がっていて、ケンジは2Pのシュートも多くなったことです。
今まではI/S(ゴール下近くの色が違う四角いエリア)、特にゴール下が得意なトニー、トニーより数m遠いシュートが得意のJ.O.(#21ジョーダン・ヘンリケス)、3PもI/Sも出来るコーリーの3外人に得点で頼っていたビーコルでしたが、3人の総得点Avg.が47.0点から46.3点と若干減ったのにも関わらず、ケンジ+カバの合計得点が19.0点→21.9点と3点近くアップしていて、若干ですが外人依存から抜け出しているようです。
ベテランのリュウイチ(#7堀川竜一)は以前より3Pを積極的に撃つようになり、ヒサとセイジ(#37河野誠司)の二人も積極的にシュートを撃ち、二桁得点も記録しており、#33喜久山貴一と#32前田陽介にあたりが出てくれば、面白くなってくるでしょう。
ビーコルの次のホームゲームは1月16日(土)17日(日)vs岩手ビッグブル戦@トッキュウセキュリティー平塚総合体育館です。詳細はこちらから → 試合スケジュール
◆インカレ◆
男女大学NO.1を決める第67回全日本大学バスケットボール選手権大会は、11月23日(月・祝)から29日(日)まで、国立競技場代々木第2体育館、大田区総合体育館、和光市総合体育館、日本体育大世田谷キャンパスで行われました。
女子は戦前の予想を覆し筑波大学が6年ぶり10回目の優勝を果たし、男子も終盤東海大の猛追をかわした筑波大が2年連続3回目の優勝を果たしアベック優勝となりました。
インカレについて詳しくはこちらから → 第67回全日本大学バスケットボール選手権大会
◆ウィンターカップ◆
JX-ENEOSウィンターカップ2015 平成27年度 第46回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(以下WC)は、12月23日(水・祝)から29日(火)まで東京体育館で各県代表プラス開催地から1、インターハイ優勝+準優勝チームを加えた男女各50チーム参加によるトーナメントで優勝を争いました。
神奈川県からは女子・県立旭高(横浜市旭区、以下、旭)、男子アレセイア湘南高の2校が出場しましたが、旭の戦いぶりを見ましょう。
1回戦の相手は島根県代表・松江商業高(以下、松江商)です。
松江商のインサイドは、#7野々村(180cm)と#4梶原(173cm)の二人。対する旭は、#7楠本唯奈(178cm)と#18平野彩音(170cm)、身長で負ける旭。となれば持ち味のディフェンスで頑張りたい旭ですが、軽いファールを連続して取られて苦しい立ち上がり。
身長差を補おうとATB(ドリブルでリングに攻め込むこと)するが、松江商のディフェンスを突破出来ません。それでも4分には#14片野と#8熊谷日毬(以下、ヒマリ)のジャンパーで7-10と差を縮めたものの、次のシュートを決められないどころかリバウンドを獲られそのまま速攻を出され、逆に7-13と離されたのが痛かったですね。
松江商は高さを活かしたI/S攻撃が上手く、11-22と離されて第1ピリオド終了。
その後旭は、I/Sへのディフェンスを強くし失点を抑えるものの、肝心のオフェンスはバラバラでシュートが入らず、38-48で最終ピリオドを迎えるもの、肝心のヒマリのシュートが入らないうえ、他の選手も攻め込めず、43-62で敗れてしまった。旭のエースとしてだけじゃなく神奈川のエースとしてのヒマリにはもう少し活躍して欲しかった!
ゲーム後、講武コーチは、「前半は松江商#4と#7のI/Sにやられたので、ハーフタイムにI/Sにカバーに行きやすいようにヘルプサイドが中へ寄りペイント内を厚く守らせた結果、失点を抑えることが出来た。立ち上がりにファールを連続して取られ、リズムが狂ってしまった。
ヒマリはプレーが読まれていて無理なシュートになった。いつもなら誰かがリバウンドに入っていたが、今日はそれが出来ていなかった。
今までも全国大会に出場しているが、その時の選手は卒業して(現大学1年生)いて経験者がいません。今年インターハイに出場しましたが、それとも雰囲気が違い、関東大会でこの東京体育館を使いましたが、その時とも違う独特の雰囲気で、それに飲まれてしまった。」と話していました。
この雰囲気については相手コーチも「旭さんは初めてだから固くなっているだろうと思っていましたが、案の定その通りでしたね(笑)」と語っていました。さらに「熊谷選手については、ビデオでスカウティングして思うようなプレーをさせないようにした。」とも語っていました。
全国大会1回戦で敗れた旭、全国に比べて何が劣っていたのでしょうか。そしてこれは旭だけの問題でしょうか。
1) 先ず挙げられるのがサイズ(身長)の問題。
特にI/Sが低いですね。旭は前述のようにセンター楠本が178cm、パワーフォワード平野が170cmですが、全国では180cmクラスで幅のある選手が多くいます。180cm台を3人擁する桜花学園(インターハイ優勝)は別格としても、180cmで幅がある日本人を抱えていたり、170cm後半の選手がゴロゴロいたり、170cm台でもスピードあるシューティングガード(万能型)タイプが複数いたりします。
またガード/フォワードを見てもヒマリが161cmはどうにか良いとしても、他の選手も同じようなサイズです。170cm以上、いやせめて168cmのシューティングガードが数名欲しいところです。
身長が低すぎると、攻撃だけじゃなく得意のディフェンスにも影響が出てきます。同じようなプレッシャーを掛けたとしても、体の幅があった方が効果はあるし、腕の長さ(ワイドスパン)が長い方がボールへのプレッシャーが強くなることは判りますよね。
それではサイズの低い旭がなぜ神奈川県予選を突破出来たのか。
それは、神奈川県は特に長身の選手が少ないからで、数少ない長身者が相模女子大高にはいるのですが、I/Sに入って行くのを嫌がる選手のため、旭はディフェンスし易かったため、決勝で勝ち抜けたわけです。つまり長身者対策を必要としないで勝ってくることが出来たことになります。全国的には稀なケースというか、弱い県ということになります。
全国的になるには、全体的にあと5cm高さが欲しいです。
2) スピード
県内ではスピードで抜けるドリブルが通用せずタフショット(体勢が崩れたりタイミングが狂った苦しいシュート)になったり、相手のドリブルについていけなかったりした場面を何度も見ました。特にヒマリはプレーを読まれていたこともあり、抜ききれませんでした。
3) シュートの正確性
旭はディフェンスが得意なチームということもあり、どうしてもディフェンス練習に時間が割かれていると思いますが、オフェンスが伴っていません。
WCでは3P 5/22(22.7%)、2P 12/53(22.6%)、FT 4/10(40%)でしたが、誰が見ても低すぎます。まあ大目に見て緒戦ということで、3Pの成功率22.7%は良いとしても、2Pの22.6%は問題ありです。
実は夏のインターハイ予選でも3Pが18/77(24%)、2Pが42/97(43%)、FTは14/29(48%)という低い数字です。2Pは及第点としても県内大会で3Pが24%は低いですね。せめて30%台に乗せて下さい。
そのためには、I/Sの楠本がもっとリングにアタックすることが必要だと思います。リバウンドがあれだけ獲れるのだからシュートも出来るはずで、期待したいです。
シュートの問題は未だあります。FTに問題発生なんです。成功率の48%は低すぎで、これはFG(野投)全体の成功率で低過ぎますよ。さらにいえば、アテンプト(以下Aと略す。試投)数が少ないことです。1ゲーム平均で10本に満たないのは問題です。一般的には勝ったチームほどFTA数は多いものです。
FTAが多いということは、ドリブルでリングにアタックしたりゴール下のシュートが多いことを表します。参考にはならないとは思いますが、NBA今シーズン最強のゴールデンステート・ウォリアーズのFTA1ゲーム平均は、23.0本です。
https://youtu.be/1pgol0d9fT4
WCにおいての女子・県立旭高
WCについての詳細はこちらから → JX-ENEOSウィンターカップ2015 平成27年度 第46回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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