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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.77「今年も楽しみな金総と旭、そして満身創痍の横浜ビー・コルセアーズ」

多くの高校は夏のインターハイ(以下IH)県予選が終わると3年生が引退して1・2年生の新チームへと移行します。しかしIH予選のベスト4チームは11月初めに行われるウィンターカップ(以下WC)県予選の出場権を持つため3年生が残っているケースが多くなります。
12月末に行われるWCが終わると、全チームが新メンバーとなり2014年度チームがスタートとなります。
ということは、IH予選ベスト4に入った強豪チームは新チームのスタートが5ヶ月ほど遅れ、さらにWC出場チームは半年以上も新チームへの移行が遅くなり、チーム作りが大変にことになります。

そんな中、早速2年生以下の大会=新人戦が1月11日から始まりました。
神奈川県の女子代表としてWCに出場した県立金沢総合高等学校(以下金総)は、シードされたとはいえ、1週間遅くなっただけなので、準備期間は3週間しかなく、大変だったでしょう。それでも決勝まで進み、県立旭高等学校(以下旭)と3年連続3度目の決勝戦を行いました。
過去2年の結果は、いずれも金総が勝利、優勝を果たしています。さぁ、今年はどうなるのでしょう。

■女子決勝 県立金沢総合高vs県立旭高
◆スタメン
・金総−#4新井未翔(2年162cm太洋中)、#5木山唯(2年168cm鶴ヶ峰中)、#6関崎南(1年153cm湘光中)、#7清田陽香(2年164cm太洋中)、#8武藤夏海(1年173cm錦台中)
・旭−#4金沢みどり(2年168cm北の台中)、#5平典紗(2年165cm鵜野森中)、#6春日イザベル瑠璃(2年170cm本牧中)、#7野上佳澄(2年172cm今宿中)、#12小泉ひなた(1年157cm希望ヶ丘中)
あんどうたかおのバスケにどっぷり

プレーが上手く噛み合わないものの金総が一歩リードしながら進みます。
旭は#4金沢がインサイドで得点し、追いつきそうになると、金総が3Pで離すという展開。
それにしても1on1で#4金沢を守ろうとする金総ですが、なかなか金沢を止められない。この辺りがチームが出来て3週間の弱みなのでしょうか。
ずっと最終第4Qまで競りながらの展開でしたが、残り2分に金沢がローポストで得点して、旭が62-60と逆転!
本来ならここで金総の攻撃を抑えて、更に加点したいところなのですが、残り1分43秒、金総はキャプテン#7清田がペネトレイトしてファールを受けながらもシュートを決めました。バスケット・カウントも獲得です!
更にAnd 1(バスケット・カウントは、フリースローを1本貰えるので、そのことをAnd 1といいます)も決め、65-62と再逆転してリードを奪いました。旭は体力的にかなりきつそうな様子。
旭はそれまでチーム得点の約半分にあたる29点を入れていた金沢がエナジーを絞り出してペネトレイトするものの、試合の最終盤、スピードがなくボールをスティールされてしまいます。それでも残り18秒では春日がFTを1本決め66-63と3点差に。金総のボールを奪って3Pを決めれば同点になるところまで来ました。
ここで両チームが交互にCTO(Charged Time Out=タイムアウト)を取り長い作戦タイムに。
金総のスローインで再開しますが、パスとドリブルで逃げると、旭はファールゲームどころかボールに喰らい付けずそのままブザー。金総は富岡高時代を含め、5年連続22回目の優勝となりました。

ゲーム後、辛うじて逃げ切った金総・清水コーチは「普通に1on1のディフェンスで通しました、旭の#4(金沢みどり選手)にはWチームに行くよう指示をしていたのですが、あまりやっていませんでした(笑)。今日はシュートが入りませんでしたが、清田が最後でバスカン(バスケットカウント)を取って決め、やっと意地を出してくれました。センターの武藤はよくやった方、新人らしいプレーが数回出ていました」と大型選手がいない中、苦しい胸の内を語ってくれました。
一方、旭・講武コーチは「旭はガードが良いチームと今までいわれてきましたが、今年はいないんですよ。身長も高くないのですが、インサイドは#6春日の身体能力が高いので楽しみです。今のところ外のシュート力がないのですが、これは私が練習であまり求めていなかったからです。ただ今年は1on1の攻める力があるんです」とコメントしました。
今までのチームは身長が低いながら、ペネトレイト、シュート、パスが上手いガードがチームの中心となって活躍するのが旭のパターンでした。しかし、今年は特に目立ったガードがいるわけではありません。どちらかというとフォワード/センター的なやや長身の金沢と平、春日が中心のチームといえます。

このゲーム、両チームともに1on1中心の攻防に終始しており、バスケットを知る人から見ると「チームプレーができてない」といわれるかもしれませんが、新人戦の時期はこれでよいのです。
まず基礎となる1on1をシッカリと身につけておかないと、夏に向かってチームに伸びが無くなってしまうのです。
かつて高校男子の伝説のコーチといわれた中大付属高・野口政勝コーチ(先生)は6月の関東大会優勝直後、「さぁチームを解体するぞ!」といいました。一度解体し、一からチームを作り上げるというのです。
春先にチームが出来上がったからといって、更に上積みしようとしても、たいして強くならない。ところが基礎からやり直すとドンドンと強くなる、と教えてくれました。
そして当然のように夏のIHで優勝したのです。
秋田県の強豪校・能代工業高等学校のことは皆さんご存知でしょう。その常勝軍団・能代工を作り上げた加藤廣志先生が無名の頃、慕って教えを請うて、春に合宿して練習させてもらった先が野口先生なのです。
その意味で、金総・旭の両チームともに夏に向けて、正しいスタートを切ったと思います。
この両チームとも全国的には小柄チームです。そのため、スピードを付けることと3Pの確率を上げること、そしてリバウンドを確保するためにボックスアウトを徹底してほしいものです。
この考えは金総・旭の2チームだけに通じる問題かというと、他の多くのチームにも通じる問題かもしれません。
WC県予選に出場しないチームは、秋の各地区の新人戦に向けて基礎から練習し、徐々にチームプレーを取り入れた練習に入り、年を越した1月に男女各58チームによる県新人戦を一つのピークに持っていくと思います。
そして多くのチームは4月末の関東大会予選に向け、更にチームプレーに磨きをかけようとしていたように思いますが、もしかするとそれは間違っていたかもしれません。
一度基本に戻り、プレーを作り直したほうが良いのかもしれませんね。
そして関東大会予選後はIH県予選と続くので、そのまま個人技術とチームプレーのさらなる上積みをして行くのが良いのではないでしょうか。

ところで…。
心配なのが横浜ビー・コルセアーズです。

1月18日(土)・19日(日)vs琉球ゴールデンキングス戦、2月1日(土)・2日(日)vs大阪エヴェッサ戦で、チーム史上初となる4連敗(過去3連敗は2度あり、それは全て沖縄絡みでした)を喫してしまいました。
#20マーカス・シモンズ選手が加入してすぐ秋田に勝ち、ホームで島根、福岡を連続スイープして4連勝で年を越したのですが…。

確かに1月は1カードしか組まれてなく…それも3年連続アウェー沖縄戦(笑)…、さらに1週おいての大阪戦と言う変則的スケジュールなので、選手にゲーム感が薄れていたという点は否めないでしょう。

しかし一番の原因は「主力選手の怪我」です。
ビーコルはチームドクター以外に後藤大輔トレーナー、宮内彩アスレティックトレーナー(マネージャー兼任)、そして横浜市スポーツ医科学センターから玉置龍也理学療法士もいて、他のチームに比べ故障者が少ないチームでした。
最初の11-12シーズン、#15堀田剛司の怪我は長期でしたが、#3蒲谷正之は3週間の欠場、#10マーカス・シモンズ(このシーズンの背番号は#10でした)と#1チェイス・マクファーランド(現・秋田)が数ゲーム、昨シーズン(12-13シーズン)は、#2ドゥレイロン・バーンズ(現・琉球)の5ゲームだけで、本当に怪我の少ないチームでした。
とはいえ、ほとんどの選手は怪我を持ちながらもプレーしているのが現状なんです。
ビーコルはベテランが多いので、怪我との付き合い方を知ってるんですね。自分の身体を騙しながらも、上手く付き合っているようです(笑)。
しかし、2月1日(土)・2日(日)のホームゲーム、大阪エヴェッサ戦は、かなり厳しい状況でした。
あんどうたかおのバスケにどっぷり
・平塚で開催されたこのホームゲーム、Jリーグ 湘南ベルマーレのコラボレーション企画として開催
 湘南ベルマーレのクラブマスコット『キングベルⅠ世』が会場に登場しました

#7堀川竜一は1月16日の沖縄戦で腰を痛め、#3蒲谷は大阪戦前日、1月30日の練習で右ふくらはぎを痛め、元々膝が悪い#44ウェイン・マーシャルは1日の大阪戦で足首を捻挫しました。
さらに2日の大阪戦では、#13山田謙治が倒され起き上がれず、#33マークゥィース・グレイも倒れたままで、スタメン起用の#73久山智志も倒れて起き上がれないという騒ぎになり、見ている方もハラハラヒヤヒヤしながらの観戦でした。
あんどうたかおのバスケにどっぷり

湘南ベルマーレのクラブマスコット『キングベルⅠ世』が会場に登場
幸い3選手とも、ゲームに戻ることができ、一安心しました。

#3蒲谷も#7堀川、さらにセンター#44マーシャルもいないこんな大ピンチ、さあどうしよう!
前回の#3蒲谷の故障中、代役を担ったのが#7木村実(現・岩手)でした。それまではディフェンスをキッチリとやる真面目一筋なだけの選手と言う評価でしたが、スタメンになりプレーが通じることで自信が付き、3Pシュートも決める選手に成長しました。彼は貰ったチャンスをしっかりと活かしてレギュラーの座を掴んだのです。
他のチームや競技でも良くある話で、スター選手の怪我を自分のチャンスを活かした選手がのし上がって行くのです。

今回は若手の#73久山、#32前田陽介、#37河野誠司の3選手に期待しました。
3選手ともそれまでの倍のプレータイムを貰いました。得点だけで判断するのは正しくはないかもしれませんが、#73久山と#32前田は点取り屋なので、あえて書きますが、2ゲームで#73久山6点、#37河野3点6アシスト、#32前田7点の計16得点だけです。
ターンオーバー(ミスによって相手ボールになること、以下T.O.)は3人で8個。積極的なプレーでミスしたのはまだ良いとしても、消極的だったり安直なミスはNGです。
#3蒲谷や#7堀川の代役ではなく、若者らしい思い切ったプレーで得点してくれれば良かったのに…と思ってしまいます。
2日のゲーム後、コート上のセレモニーで#73久山へのインタビュー中、彼は涙を流し、言葉が途切れてしまいました。
彼にしたらこのゲームでシュートを8本撃ちながら1本も決めることが出来なかった自分への不甲斐なさが悔しくて涙を流したんだと思いますが、この悔しさを忘れずに次のチャンスには思い切ったプレーとシュートで「倍返し」して欲しいのです。
こんな時だからこそ、皆さん応援が必要です。ぜひ応援を宜しくお願いいたします。Go Go B-Cor!!!

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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