vol.62「ビーコル開幕4週目」
寒くなりましたねー、皆さん風邪には注意して下さい。
さて、横浜ビー・コルセアーズ(以下、ビーコル)は4週目を終えて、昨年とは2週間ほど遅くなってますが5勝3敗(勝率.625)という成績です。昨年はこの時点で4勝4敗と五分の星でしたから、進化してると言えるでしょう。
今シーズンのこれまでを簡単に振り返ってみましょう。
10月13日(土)開幕戦、会場は所沢市民体育館、相手は埼玉ブロンコス、リーグ立ち上げからの古株ですが、昨シーズンは3勝1敗とビーコルが勝ち越しています。今シーズンはコーチも変わりディフェンスも強くなりましたが、100人を超えるブースターと5社のビーコル・メディアが後押ししてくれたお蔭で115-94、88-71と大量得点で連勝しました。
115得点はチーム史上最多得点(これまでは4月13日高松戦での98点が最高)ですが、94点は取られ過ぎです(怒) チーム失点タイ記録ですよ(汗)
まあ開幕早々の新記録と連勝は「幸先良し」ということにしておきましょう(笑)
しかし1週空いた27日(土)28日(日)新潟での昨シーズンは2勝2敗とまるっきりの五分の新潟アルビレックスBB戦で、2連敗を喫してしまったのです、それも悔しいことに75-78、65-69という大接戦を落としての、、、。
翌週は桐生市での群馬クレインサンダーズ戦、このチームはエクスパンション(新規)チームでそれまで全敗してます。理由は、コーチが解任された事でも判るようにコーチの問題です。と言ってもコーチ個人だけの問題ではなく、コーチに任命したチームの責任と言えるでしょう。
と言うのも元のコーチは大学のコーチだった人。それも強豪の関東リーグでは無く関西リーグの普通のチームです。幾らなんでもそれは無理です。レベルが2ランク違います。アメリカでも言われることですが、大学のコーチがプロ・チームのコーチになるのは大変なことです。
大学はコーチの言うことが絶対ですが、プロは違います。個人で意見を主張するし、耳を貸さない選手すらいます、特にアメリカ人は。立場が逆になるので、それだけでも大変なことです。
ディフェンスにおいてもM2M(マンツーマン)とゾーンで数種のパターンを使うのは当たり前ですからね。オフェンスの組み立ても、得点できる選手を中心にフォーメーションを組み立てます。戦略にしても裏をかくのは常識ですから、簡単じゃないんです。
まあヨソのチームのことはどうでも良いですけど(笑)
新コーチとなったので、選手たちも気合が入っていたようで、76-67、76-63で思ったほど差が付きませんでした。取りあえず4勝2敗(勝率.667)です。
スカイアリーナ座間でのホーム開幕戦
そして迎えたスカイアリーナ座間でのホーム開幕戦、相手は信州ブレイブウォリアーズ。昨年もここスカイアリーナ座間で迎え撃って1勝1敗となってます、ちょっと嫌な相手ですね。信州の新しいコーチになった石橋君は技術論がしっかりとした人ですから。
ゲーム1は第3Q(クォーター)までは大差を付けていたのに、ラストQでディフェンスに戸惑って追いつかれてしまい、辛うじて85-82で逃げ切りました。それが尾を引いたのか、翌日のゲーム2ではシュートが入らなかったこともあり前半からリードを付けられ72-81で敗れてしまいました。追い上げると信州の呉屋君にシュートを決められて、追いつけませんでした。彼には学生やbjに入ってからもATB(Attack The Basket. 「ドリブルで攻め込む」)の大事さをズーッと言い続けてきてましたが、まさかここでやられるとは(笑)
とは言えここまで5勝3敗ですから、良いのではないでしょうか?
何が良いのか?
前号で書きましたが、今シーズンは外からのシュートが良くなりました。昨シーズンの8ゲーム目までのスタッツ(個人記録集計表)と比べてみましょう。
一番目立つのが3Pシュートです。
昨シーズンは112本(1ゲーム平均14.0本)撃っていたのが160%も増えて181本(22.6本)も撃ってます。更に成功数は32本だった昨シーズンの倍近い62本にもなってます。その上シュート確率も6ポイントほど上がって34.3%にもなります。
そして2PFG(2ポイントフィールドゴール)が1ゲーム平均6本ほど減っていて、トータルでは652得点、平均で81.5点と昨シーズンより平均で7.6点も多くなっています。
攻撃力が付いてきたんです!
それじゃディフェンスは?
そうなんです、良いことばかりじゃありません。攻撃力に比例して失点も増えてます(涙)
と言うのも今シーズンはフォワードの#1トーマス・ケネディー、そして長身ながら走るのが得意な#43ポール・ビュートラックと2人のアメリカ人が加わり、昨シーズンよりスピーディーなバスケットを展開するようになったため、比例して攻撃回数と守備回数が増えたためです。
そしてもう一つの弱点があります、それはリバウンドです。
昨シーズンは215㎝の#1チェイス・マクファーランドと208㎝の#24ジャスティン・バーレルと言う巨大なインサイド・プレーヤーがいたためにリバウンドは平均で50本ほど獲ってましたが、今シーズンは最長身が#43ポールの208㎝。
しかしリバウンドは身長や身体能力だけで獲れるものではありません。獲ろう、リバウンドしようと言う強い意志がないとなかなか取れません。インサイド・プレーヤーは若い頃からリバウンドを獲ることをしており、リバウンドに参加することを身体で覚えています。
ビーコルではそれが200㎝の#10ファイ・パプ・ムール一人だけです
私はリバウンドに関してあえて「獲る」という漢字を使用してます。それはリバウンドが与えてくれるものではなく、獲りに行かなければ得られないから「獲る」と表記してます。
リバウンドは何故大事なのでしょう?
バスケットでは、世界最高峰リーグのNBAも含めてシュート(2P+3P)の確率は平均すると50%以下です。
NBA昨シーズン・チャンピオンのマイアミ・ヒートですら49.7%で、最低成功率のサクラメント・キングスに至っては40.1%です。
良くても2本に1本はシュートが外れる訳ですから、外に出たボールは取った方が良いことは誰でも判る問題です。オフェンスが獲れば、ペイント内(フリースロー・レーン内)で再度シュートのチャンスが出来る訳ですから、かなり有利になります。
ディフェンスが獲れば相手の攻撃が終わり、ディフェンスが成功したことになり、自分たちに攻撃権が移る訳で、ここから速攻が始まるチームも多くあります。
ディフェンス主体のビーコルにとってはせっかく良いディフェンスをしてシュート・ミスを誘っているわけですから、リバウンドは獲らないと意味がなくなります。
実はリバウンドと言うのはディフェンスにだけ影響するわけじゃなく、オフェンスでも影響があります。
良く言われることですが、「必ずリバウンドを獲ってくれる」と判るとシューターは安心し、リラックスして撃てるのでシュート確率が良くなります。逆にリバウンドを獲れる確証がない時は緊張が強くなりミスする確率が増えます。
だからリバウンドは大事なのです。
そのリバウンド、数字で表すと昨シーズンは平均で50本も獲っていましたが、今シーズンは35本と大激少してます。
敗れた新潟戦を見ると、OR(オフェンス・リバウンド)は2ゲームで20—34、TR(リバウンド総数)では70-96と大きく負けています。
何故ビーコルはORが少ないの?
身長もありますが、ポジションが関係してきてます。メンバー構成を見ると、アウトサイドの選手は#1トーマス、#2ドゥレ、#3蒲谷、#15堀田等いますが、インサイドは#10パプと#43ポールの二人しかいないので、外人がオン・ザ・コート2人でも3人でもインサイドは1人しか起用できません。そうなると外からのシュートのリバウンドを取りに行くのは1人だけとなってしまい、2〜3人がインサイドにいる相手にリバウンドを獲られることになります。
#10ファイ・パプ・ムール選手
ただそんな中、#10パプは18本も獲っているのが救いです。昨シーズンから#10パプのORは多かったのです。プレータイムが短いために、1ゲーム平均では#1チェイスに負けてましたが、単位時間では#10パプが1.2倍も獲って一番でした。
その弱点のリバウンドに対してコーチ・ゲーリーは対策を打ってます。先ずはディフェンスでのボックスアウト(身体を張ってオフェンスをゴール下に近づけないプレー)の徹底です。練習でも厳しくやってました。中学・高校生に見てもらいたい良いドリルでしたね。
リバウンドが良くなれば、強豪チームを負かすようになるでしょう。
#37河野誠司選手
リバウンドに関しては明るいことは少ないのですが、嬉しいことが起きてます。チーム1背の低い#37河野誠司の台頭です。
シーズン前は、正直どれほどやれるか判りませんでした。でも彼はこのチーム唯一人、生粋のPG(ポイントガード)なんです。ボール運びも、パスさばきも普通にこなしています。選手としての資質や経験は#13山田謙治には敵いませんが、PGとしての動きは悪くありません。
ただそれだけじゃ無く、良いところでシュートも決めます。10日の信州戦でもペネトレイトはするし、思い切りの良い3Pも決めました。
シュートを撃つ#37河野選手
これだけ良ければ#13ケンジも休める時間が長くなり、プレーに集中できるようになるでしょう。
今週末は仙台と、そして@横浜開幕戦は来週末に強敵岩手(11日現在10勝2敗イースタン2位)を迎えて横浜文化体育館で行います。
皆さんの応援が無いと勝てません。是非とも文体へ足を運んで下さい!!
※編集部追記※
このブログの執筆者、あんどうたかおさんは、ご存じのとおりビーコル広報も担当しています。
試合終了後の記者会見の取り仕切りなどもあんたかさんのお仕事。
写真は、ホーム開幕戦後の記者会見を仕切るあんたかさんの後ろ姿です。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、
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