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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.43「全米大学」

 東北地方太平洋沖地震によりお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 私も「自分で出来る事」を考えた結果、チャリティーTシャツを作り私のブログで東日本大震災チャリティーTシャツとして紹介して申し込みを受け付けました。第一回目の締め切りで719枚の申し込みがあって、嬉しかったですねー。

 第二次は17日が締め切りです、詳細は神奈川県バスケットボール協会チャリティーイベント をご覧ください。
 あれから1ヶ月経ちましたが、未だに余震が続いている状態で、落ち着きませんね。
 3月11日はニューヨークにいて地震を体験していませんが、日本から「大地震発生」のメールが数通来ました。
 当初はそれほどピンとは来ていませんでしたが、時間が経つにつれアメリカのTVでもかなり放映していて、津波の映像には驚愕し愕然としました。

 さて3月11日はニューヨークにいましたが、それは大学のトーナメントとNBAの練習とゲームの取材のためでした。
 アメリカでは大学もシーズン制が敷かれしかれ、バスケットは11月から3月までとなっています。
 日本では「関東大学リーグ」と呼びますが、アメリカでは「リーグ」と言わず「カンフェレンス」という呼び方をします。
 多くの大学はどこかのカンフェレンスに登録していて、半分ほどカンフェレンス内のリーグ戦を行いながら他のカンフェレンスとの交流ゲームを行い、3月初めにレギュラーシーズンが終了します。

 面白いのはココからです。日本のプロ野球のようにレギュラー・シーズンの成績を元にトーナメントを行い、優勝を決めるのです。
 このトーナメントの成績から、日本のインカレにあたるNCAAトーナメントの出場が決定されます。
 この「NCAAトーナメント」が3月いっぱい行われていたことから「マーチマドネス(狂乱の3月)」と呼ばれ、甲子園のように国中で盛り上がるイベントなのです。
 オバマ大統領はバスケット好きということもあり、優勝チーム予想をしています。今年で2回目なんですが、かなり評判がよく、メディアでも大きく取り上げられます。
 今回の予想は外れましたが(笑)

 今回はアメリカでもレベルの高いBig Eastカンフェレンスのトーナメントを見ました。このカンフェレンスがどれほど強いのかと言うと、今年1月の全米大学ランキング(毎週スポーツ記者の投票で順位付けする)ベスト10までにナンとBig Eastから#3コネチカット大、#5ピッツバーグ大、#7シラキューズ大、#8ジョージタウン大、#9ビラノヴァ大の5校がランクインされたのです。凄いことです。
 他にもココにはディポール大、シートンホール大、ラトガース大、マーケット大、プロビデンス大と有名大がそろっていて、中でもラトガース大、プロビデンス大、シラキューズ大は実際に私がファイナル4で見ているチームなので、懐かしい感じがします。

 Big Eastのレギュラーシーズンは3月5日に終わり、8日からさっそくトーナメントが始まりました。
 場所は有名なニューヨークのMSG(マジソン・スクエアー・ガーデン)で12日まで行われたのです。

 全米ランキングでは評価が高かったユーコン(コネチカット大の愛称)ですが、カンフェレンスでは9勝9敗という成績だったため、#9シードとなり、1回戦から登場です。それに対し、シーズン終了後 の全米ランキングで4位に上昇したピッツバーグ大はカンフェレンスでトップとなったため#1シード(日本のシードとは少し意味が違い、順番と考えた方が良いでしょう)となって3回戦からの登場です。

 その他には白人が中心のノートルデイム大が#2シード、リック・ピティーノというNBAでのコーチ経験もある有名なコーチのいるルイビル大が#3シードとなっています。
 順当に行けば#4シードが準決勝に進むはずですが、そうは行かないのが学生スポーツの面白さです。こともあろうに#1シードのピッツ(ピッツバーグ大の愛称)が#9シードのユーコンに大接戦の末に敗れました、それもユーコン・ケンバ・ウォーカーにブザービーターと言われる終了直前のシュートを決められたからです。これは決めたウォーカーを褒めなくてはいけません。1m以上もステップバックしての超難易度のプレーです。

 ユーコンはこれで勢いに乗ったのか、セミファイナル(準決勝)でも#4シードのシラキューズ大をOT(延長)で76-71で破り、ファイナルではまたも69-66の大接戦でルイビル大を下し、予想外の優勝を果たしました。

 プレーもさることながら、応援というか場内の雰囲気をお伝えしたいですね。NBAと違い大学の応援は日本の甲子園・高校野球に近いものがあります。日本ほど整然とはしていませんが、ブラスバンドが中心になって手を叩いたり声を出したりしての応援です。

 特に印象的だったのはゲーム直前の国歌斉唱です。ユーコンは肩を組んで曲に合わせ、身体をユックリ大きく揺らしていました。写真手前はルイビル大、向こう側黒がユーコン。
 今まで100ゲーム以上見ていますが、これは始めての光景でしたね。

 歌が後半に入るとどこからとも無く「ウー」とも「ウォー」とも付かないような唸り声が徐々に大きくなって、最後のフレーズ Oer the land of the free (ココがサビでFreeが「りーーーーー」と伸ばされ高音になる)、ココで歌も場内も最高潮になります、そして And the home of the brave.で終わりますが、この部分は「ヒュー」やら「ウォー」やらの声でほとんど聞こえませんが、鳥肌モノの興奮でした。

 16チーム中9位のユーコンが優勝しましたが、まさかこのユーコンが全米制覇するとは思っても見ませんでした。

 Big Eastが終わった翌週から日本のインカレ(全日本大学選手権大会)に当たるMCAAトーナメントが64チーム参加のもと始まりました。Big Eastからは11チームが選ばれています。参加基準は無く、NCAAの委員会が出場チームを選考します。実績があり強いカンフェレンスからは多く選ばれますが、Big Eastが最多でした。

 64チームを4ブロックに分けます、一応「EAST」「WEST」と名前が付けられていますが、大学の所在地とはそれほど関係が無いように見えます。各ブロック16チームのトーナメントで勝ちあがってきた4チームはファイナル4と呼ばれる準決勝へ進みます。
 ファイナル4になることは物凄く名誉になります。
 このトーナメントは番狂わせが多いのが特徴で、だからこそマーチ・マドネスと呼ばれるのでしょう。
 今回もEASTの#1シードでシーズン終了後全米ランキング#1のオハイオ・ステート大がスイート16と呼ばれる3回戦でケンタッキー大に62-60で、SOUTHWESTでは#2のカンザス大がファイナル4入りのところでVCU(ヴァージニア・コモンウェルス大)に71-61で、WESTでは#3デューク大がエリートエイトと呼ばれる準々決勝でアリゾナ大に93-77で、SOUTHEASTでは#4ピッツが2回戦でバトラー大に破れるという波乱があり、各ブロックの#1シードが1チームもファイナル4入り出来ませんでした。
 非常にまれなケースといえます。

 そんな中ファイナル4に進出したのはEASTから#4シードのケンタッキー大、WESTは#3シードのユーコン、SOUTHEASTから#8シードのバトラー大が2年連続の進出、そして驚いたことにSOUTHWESTからは#11シードでコロニアルという弱小カンフェレンスのVCUが進出してきたのです。
 はっきり言えば、#11シードはやっとトーナメントに選ばれました、それだけで嬉しい、みたいなチームなんのです。
 ちなみにVCUは1月の全米ランキングで54位、シーズン終了後のランキングはランクインされていません。バトラー大が41位でした(笑)

 そんな中、1回戦バックネル大に81-52、2回戦同じBig Eastのシンシナッティ大に69-58、スイート16はサンディエゴ・ステート大に74-67、エリートエイトはアリゾナ大に65-63で勝ってファイナル4に進出し、残2秒に1年生のネイピアーがフリースローを2本とも決め56-55で逃げ切り、VCUを70-62で下したバトラー大とファイナル(決勝戦)を戦いました。
 バトラー大もそれほど強くないホライゾン・カンフェレンスですが、2年連続のファイナル進出は立派の一言です。
 ファイナルは史上まれに見るひどいゲームと酷評されるほどシュートが決まりませんでした。
 通常大学のゲームはFG(野投、フィールドゴール)成功率は40%ほどですがユーコンが34%でバトラーに至っては18%しか入りません、何しろゴール下のシュートすらポロポロ落としていましたから。
 53-41でバトラー大を下したユーコンが3度目の優勝を果たしました。

 このチームは1年生が多く、ミスも多かったのですが、ゲーム経験を積むことで勝てるようになりました。
 特に大きな選手もいなくて、205cmのオリアキー程度。しかし時には上から当たる強いディフェンスがこのチームの特徴です。
 嬉しいですね、Big Eastで見ていたチームが優勝したのですから。

◆さてビーコルセアーズからのお知らせです。
7月から横浜ビー・コルセアーズ・チアリーディングスクール横浜国際プール校が開校します。それに先立って「チアリーディング体験スクール」が5月5日(祝木)に開催されます。
皆さんも参加してはいかがですか?
詳細はチアリーディングスクール体験スクール (http://b-corsairs.com/information/110412.html)のご案内までどうぞ。
申し込み締め切りは5月2日ですよ!!

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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