vol.42「NBAオールスター・ゲーム」
2月20日(現地時間)アメリカのロサンゼルスのステープルズ・センターでNBAオールスター・ゲームが開催されました。
日本でもJBLオールスターやbjオールスターが行われていますが、本場アメリカは少し違っています。
日本のプロ野球のそれとも違うようです。
一番の違いは開催期間とイベントの多さでしょう。
最近は表示していませんが、90年代に「NBA ALL STAR WEEKEND」と言っていたことがあります。現在はそれが定着したのでわざわざWEEKENDと表記しなくなったのかも知れません。
それは木曜日から始まります。NBAとしてはレギュラーシーズンのゲームを行っていますが、地元ではTVを中心に一足早く開幕しています。もちろん全米からファンが集まり、町中お祭り騒ぎです。
本格的なイベントは金曜日から始まりますが、私が一番すごいと思ったのはJAM SESSIONと言うバスケットのテーマパークが催されることです。本会場と同じくらいの広いフロア至る所にバスケットがあふれかえっています。
一角ではストリート・バスケットをやっていたり、大きな記念品の販売所があったり、バスケットのゲーム機があったり、いわゆるバスケットのディズニーランドです。
なぜそんなのがあるのか?
と言うのも、本会場の収容人数はせいぜい2万人(昨年は10万人収容フットボール場で行いましたが)程度です。
ところがオールスターを見に全米からチケットを持ったファンがやってくるため、地元の人たちは、ほんの少しの人しか入場できません。
それじゃ「お祭りだー!!」と言っても、地元の人は面白くないですよね。
そこでより多くの人がオールスター・ゲームを楽しめるように作ったと言われています。それでも入り口は長蛇の列ですからね。
金曜日には「セレブリティー・ゲーム」が開催されます。これはNBAの選手だけでなく、OBや女子リーグのWNBAや有名芸能人から選ばれた人たちでチームを作りゲームをします。
今年の目玉は歌手のジャスティン・ビーバーでした。芸能人も一緒に見られるので盛り上がります。
嬉しいことにこれはJAM SESSIONの会場で行われますが、もう一つの特典は、ここでオールスターの練習を行うんです。コーチがマイクを通して選手に指示するので、観客も臨場感ある練習で嬉しそうです。
その他のイベントとして有名なのは「ダンク・コンテスト」「3Pコンテスト」「スキル・チャレンジ」でしょうが、「ルーキー・チャレンジ」も評判が良いようです。
これらの目玉イベント以外にも、JAM SESSIONの会場でセレブを交えたシュート・コンテストやダンク・コンテストもやっているのです。
そうやって土曜日まで盛り上げて、日曜日に本番の「オールスター・ゲーム」が行われる、というわけです。
それではそれぞれのイベントについて説明しましょう。
<ダンク・コンテスト>
有名ですね、本番以上に一番盛り上がるかもしれません(笑)
身長のある選手ほど不利になる、と言われています。なにしろNBAは「ダンクができて当然」の世界ですから。
1986年にはスパッド・ウェブという選手は自分でボールをボードに当て、跳ね返ってきたボールを片手でつかみ、そのままダンクして優勝しました。
特に面白みがなさそうですが、この選手たったの170cmしかありません(笑)
最近は力任せのダンクより、クリエイティブ(創作的)なものや、エンターテインメント性の高いものが高得点を得ています。
08年ではオーランド・マジックのドワイト・ハワードがスーパーマンの衣装でボードの後ろから投げ入れられたボールを空中でつかみ、投げ込むようなダンクを披露して満点を獲得しました。
91年のディー・ブラウン(ボストン・セルティックス)は腕で目を隠し見えない状態でダンクして優勝すると、翌年セドリック・セバロス(フィーニックス・サンズ)はそれを真似して、鉢巻状の布で目隠ししたままダンクして優勝しました。アイデア勝ちです。
今年は注目の新人LAクリッパーズのブレイク・グリフィンが自家用車を跳び越してダンクを決め優勝しました。
<3Pコンテスト>
その名の通り3Pを何本決められるかを競う競技です。
3Pラインの外に、トップ、左右45度、左右コーナー計5箇所にそれぞれ5個(その内1個はカラーボール)のボールが配置されていて、60秒以内でシュートして得点を競います。特にカラーボールは2倍の得点になるので、カラーボールを多く決めると得点が高くなります。
これは技術もさることながら、体力と勝負強さがカギになってきます。特に決勝ではシュートする順番でプレッシャーを掛けたり掛けられたり、勝負のアヤが見られます。
<スキル・チャレンジ>
ガードのための競技、と言われています。と言うのは、正確なパスとシュート、そして早く機敏なドリブルが求められるからです。
コート全面を使います。最初にドリブル・シュートをしてジグザグ・ドリブルをし、狭い穴にダイレクトにパスして通し、フリースローラインからのシュートを決め、次はバウンドさせてパスを通し、同じくジグザグ・ドリブルで最初のリングにシュートを決めるまでの時間を競います。
パスは1回ミスしてもどうにかなりますが、シュートを外すと大幅に時間をロスするので優勝は出来ません。
シュートもパスが上手く、ドリブルも速く上手くなければ勝てない、つまりオールラウンドな選手が優位なわけですね。と言うことは運動能力が高く、俊敏なのは、やはりガードの選手と言うことになります。
と言うことで歴代の勝者は以下のように有名なガードばかりです。
03年 ジェイソン・キッド(ネッツ、現マーベリックス)
04年 バロン・デービス(ホーネッツ、現キャバリアーズ)
05年 スティーブ・ナッシュ(サンズ)
06年 ドウェイン・ウェード(ヒート)
07年 ドウェイン・ウェード(ヒート)
08年 デロン・ウィリアムス(ジャズ、現ネッツ)
09年 デリック・ローズ(ブルズ)
10年 スティーブ・ナッシュ(サンズ)
そして今年はステフォン・カリー(ウォリアーズ)が優勝です。
◇さて名誉あるオールスター出場はいかにして決められるのでしょうか。
NBAでは東西対抗と言うシステムになっていて、スタメンはファンの投票でポジションごとに決められます。この辺りはファンを大事にするNBAらしいです(笑)
残りの7人はそれぞれの地区のコーチの投票(自チームの選手は選べない)で実力のある選手が選ばれます。
イースタン・カンファレンス
選手 チーム 身長 体重
F 23 レブロン・ジェームズ キャヴス 203cm 113kg
F 1 アマレー・スタウドマイアー ニックス208cm 111kg
G 3 ドゥエイン・ウェイ ヒート 193cm 98kg
G 1 デリック・ローズ ブルズ 191cm 86kg
C 12 ドワイト・ハワード マジック 211cm 120kg
リザーブ
G 20 レイ・アレン セルティクス 196cm 93kg
F 1 クリス・ボッシュ ヒート 208cm 104kg
F 5 ケヴィン・ガーネット セルティクス 211cm 99kg
C 15 アル・ホーフォード ホークス 208cm 111kg
G 2 ジョー・ジョンソン ホークス 201cm 108kg
F 3 4 ポール・ピアース セルティクス 201cm 106kg
G 9 レイジョン・ロンド セルティクス 185cm 77kg
監督 ドック・リヴァース (セルティクス)
ウエスタン・カンファレンス
選手 チーム 身長 体重
F 35 ケヴィン・デュラント サンダー206cm 104kg
F 15 カーメロ・アンソニー ナゲッツ 203cm 104kg
G 24 コービー・ブライアント レイカーズ 198cm 93kg
G 3 クリス・ポール ホーネッツ 183cm 79kg
C 11 ヤオ・ミン* 欠場 ロケッツ 230cm 140kg
リザーブ
F 21 ティム・ダンカン スパーズ 211cm 118kg
C 16 ポー・ガソル レイカーズ 213cm 113kg
G 21 エマニュエル・ジノビリ パーズ 198cm 93kg
F 32 ブレイク・グリフィン クリッパーズ 208cm 114kg
F 41 ダーク・ノヴィツキー マーベリクス 213cm 111kg
G 0 ラッセル・ウェストブルック サンダー191cm 85kg
G 8 デロン・ウィリアムス ジャズ 191cm 93kg
追加 F 42 ケヴィン・ラブ ウルヴズ208cm 118kg
監督 グレッグ・ポポヴィッチ(スパーズ)
さてさて、本番のことはほとんど触れずに来てしまいましたね。
下の動画で雰囲気を味わって下さい。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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