vol.29「NBAオールスター」
日本でのJBLは昨年12月23日に札幌で、そして1月31日にはbjリーグが仙台でそれぞれオールスター・ゲームを開催して大人気でしたが、本場NBAオールスター・ゲームは日本時間2月15日(月)に行われます。現地では14日のバレンタイン・デーです。
オールスター・ゲームは上手い選手や有名選手が集まってのゲームです。お祭りなのでディフェンスには重点を置かず、攻撃で観客を魅せます。だから有名選手のダンクが多くて単純に面白いです[笑]
今年はテキサス州ダラスで行われますが、なんと体育館ではなくフットボールの屋内球技場なのです。通常はチームのアリーナで行われるため、キャパシティーは1万人台がほとんどで、毎回大盛況でチケットの入手は困難を極めます。全国一斉販売のため、地元の人は1割程度しか入れないという超狭き門です。
だからアリーナは広ければ広いほど良いわけで、89年には同じくテキサス州のヒューストン市のアストロ・ドームという屋根付球場で開催したこともあります。この時は44,735人というオールスターゲーム史上最大の観客数となりました。
さて今回はダラス市から車で30分足らずのアーリントンにあるNFLダラス・カウボーイズの本拠地カウボーイズ・スタジアムで行われます。フットボールでは8万人のキャパですが、今回はグランドにも席が作れるため、10万人収容できると言われています。一番上の席からだと、選手はアリよりも小さくなっちゃうのじゃないでしょうか[笑]
日本のオールスター・ゲームというと、ほとんどは当日1日限りになってしまいますが、NBAはオールスター・ウイークエンドと呼ばれ、金曜日からイベントが始まり、町中がお祭り騒ぎで沸きかえります。
金曜日は殿堂入りの発表や、セレブ達のゲーム、NBA入り1年目vs2年目のゲームがあったり、軽ーいイントロですね。
土曜日は本番のオールスター・ゲーム以外のイベントが凝縮してあります。皆さんが楽しみにしている「スラムダンク・コンテスト」を筆頭に、現役+女子選手+OBでチームを組んでのシュート合戦の「シューティングスター」や「3ポイントコンテスト」、パス、ドリブル、シュートの正確さと速さを競う「スキルチャレンジ」等が行われ、これらは全部全国中継されます。
そして日曜日に本番のオールスター・ゲームが行われる、というわけです。
NBAが上手いのは、会場で観客を集めてのイベントだけじゃなく、バスケットのテーマパークを作ることなんです。
コレは冒頭で書いたように、地元の人が場内でオールスター・ゲームを見られるのは、ほんの一握りの人だけなのです。それなのに「町を挙げてのお祭り」と言ってもいま一つ盛り上がりは欠けるというものです。
それで、地元の人や観戦に来たファンが楽しめるように、もう一つ広い会場にバスケットのありとあらゆるモノが詰め込まれた「ジャムセッション」というテーマパークを作ったわけです。
Tシャツ等の記念品ショップ、カードやサイン入りグッズのショップ等の販売スペース、テレビゲームや身体を動かすゲーム機が置いてあり、3on3のコートも10面以上あります。
かと思えば選手の手形や、原寸の足型や等身大の写真があって、自分と比較できたり、ジャンプ力を比べられたり、実に面白いスペースになってます。午前と午後で入れ替え制になっているほど、ここも人気あります。
93年ユタ・ジャズ・チームのホーム、ソルトレイク大会から始まりましたが、その時は地元ジャズのロッカールームが再現されていて、ファンはそこで記念撮影が出来ました。場所はソルトパレス・コンベンションセンター(日本的に言えば展示場)。ここは昔ジャズのホームコートだったところですから、いかに広いかわかっていただけますよね。
バスケットはアメリカでは人気スポーツ、特に若者には大人気です。そのため有名アーティストや役者のセレブ達が見に来ます。 特にラップシンガーが多いですね、と言っても私には誰が誰だかまるでわかりませんが(汗)MCハマーだけはわかりました。
ハリウッド俳優ウィル・スミスが92年オーランド大会で私の席のすぐ後ろにいたので話した記憶があります。残念なことに当時はいま未だ駆け出しで、今ほど人気になるとは思っていませんでした。サインでも貰っておけば良かったと後悔してます[笑]
下の写真の中にいますから探して下さい。
他にも沢山のセレブが来ていたようです。
92年頃は「リジェンド・クラシック」というOBのゲームがありました。コレは嬉しかったですね。
オスカー・ロバートソン、ジョージ・ガービング、デイブ・ビング、リック・バリーと書いたところで、皆さんには興味無いでしょうが[笑] 私にとっては昔見た超有名選手ばかりなのです。
本番のオールスター・ゲームより、私には興味ありました[笑]
でも現在はやってません。というのも、怪我が多いから中止になりました。このゲームでも前十字靭帯を切ったり捻挫したりする選手がいました。気持ちは現役なんですが、身体はとっくの昔にリタイアしたことを忘れているんですね[笑]
92年といえばマジック・ジョンソンがシーズン開幕直前にエイズを公表して、プレーすることなく現役を引退した年ですが、ファン投票で選ばれてこのゲームだけ出場しました。
ゲームはウエスト・チームがクライド・ドレクスラーの22得点9リバウンドの活躍でイースト・チームに大差をつけて勝っている終盤、そのまま行けばドレクスラーがMVPと記者仲間では噂していたところです。
マジックが最後のプレーになる筈ということで、NBAで一番の親友のアイゼイア・トーマス、そして一番のスーパースターのマイケル・ジョーダンとファンサービスを兼ねて1on1を披露します。事情を知っているファンは大喜びです。
そして最高の場面がやってきます。残り時間20秒、ウエスト最後の攻撃でドレクスラーが気を使ってマジックにボール廻します。ディフェンスするのはトーマス。勿論最後の花道を作るためゆるーく付きます。
右45度からフェードアウェー(後ろへ仰け反る)気味の難しい3Pシュート。私の席とマジック、そしてリングが丁度一直線になったところです。
綺麗なアーチを描いたボールはリングにかすりもしないでネットに吸い込まれました。
勝負は既に決まってましたが、コレでMVPはドレクスラーからマジックへ大きく傾きました。
現役時代にも再三クラッチシュート(勝負が掛かっているシュート)を決めて、運の強さを見せていたマジックが最後で勝負運を見せ付けた、と感じたゲームでした。
今年はNHKハイビジョンで15日(月)AM10時から生放送で、16日(火)AM0時20分からと3月6日(土)PM14時10分からBS1で録画が放映されます。
超攻撃的バスケットなNBAのプレーを堪能して下さい。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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