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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.23「中学高校」

 夏真っ盛りです。
 世界的バスケット感で言えば、バスケットはオフシーズンです。
 しかし日本は違います。夏こそ部活バスケットのシーズンなんです。

 横浜市でも、中学は8月20日から鹿児島県で始まる全国中学大会へ向け、7月25日市内の大会が行われ、県大会へ出場する男女12チームずつを決めました。他ブロックでは2〜4チームなのですが、登録チーム数と実績から、圧倒的に多くのチームが県大会へ進出出来るのです。

 県大会(第43回神奈川県中学総合体育大会兼第54回神奈川県中学校バスケットボール大会)は28日〜31日まで男女合計64チームが参加して横須賀市で開催されました。

 ミニバスが強いこともあって、横浜ブロックは県内でも最強のブロックと言われています。今回も男子12チームのうち11チームが1回戦を突破し、ベスト8には4チームが残り、最強4チームで行う決勝リーグには2チームが残っています。
 その2チームとは横浜市の決勝戦を戦った笹下中と瀬谷中で、結局神奈川県を制したのは笹下中でした。


笹下中vs瀬谷中

 県大会の上位2チームが関東大会へ進出します。

 笹下中は身長が低いのですが、スピードがあって外からのシュートがよく入り、ディフェンスが強いチームです。
 ところが関東大会では準々決勝で東京の京北中に53-110で敗れてしまいました。まあしょうがないと言えばしょうがないでしょう。

 京北は昨年の全国中学大会の準優勝校で、そのスタメンが3人残っているからです。
 笹下の最長身者が176cmの小林に対して、京北中は木林が190cm、新川が180cmもあります。完全に反則ですよ〔笑〕

 もちろん優勝は京北中で、決勝戦でも埼玉県の大石中を84-65と大差で下しています。

 一方横浜市の女子は、例年に比べてレベルが下がっている、と聞きました。以前であれば、横浜旭中とか万騎が原中が県の上位を占めていたものです。
 確かに今回も県大会ではベスト4は万騎が原中と旭中の2チーム、つまり半分は横浜ブロックのチームでしたが、内容は物足りません。


瀬谷中vs旭中

 とは言え関東大会では、横浜旭中が77-88で優勝した埼玉県の入間市立金子中に破れたものの、準々決勝まで進出しました。

 全国大会へは男女とも関東大会上位4チームが出場権を得るため、残念ながら神奈川県および横浜市からは出場チームを出すことが出来ませんでした。

 さて全国大会と言えば、お兄さんお姉さん格に当たる高校のIH(インターハイ、全国高校総合体育大会)があります。横浜市からの出場チームに関しては前回に書いた通り、男子は慶応義塾高、女子は県立荏田高、県立金沢総合高です。
さて結果はどうだったのでしょうか?

 男子の慶応は前回書いたとおり、一番やりたくない相手である宮城県明成高との対戦でした。キビキビした走り、強いディフェンス、パス回しの早さ、手を抜かないプレー。どれをとっても慶応が得意とするプレーを高い精度でやってきます。

 立ち上がりから明成は2-2-1のゾーンプレスで慶応ガード陣を揺さぶりミスを誘い、それを速攻に結びつけ、4分には8-17とリードを奪われます。その後も明成は3P攻撃も含めたスピーディーな攻撃で大量得点します。
 一方慶応も後半反撃に出ます。体格がよくスピードのある平原(178cm富岡東中)がドリブルで攻め21得点するものの、攻撃できるのが平原、権田(188cm弦巻中)、中村(183cm岩崎中)の3人に限られては、相手にディフェンスを絞りやすくさせるだけでした。
 この辺が全国の強さなんでしょう。明成はその後、準々決勝まで進出しました。

 ちなみに神奈川県もう一つの代表、東海大相模高はベスト8へ進出しました。

 さて神奈川、特に横浜と言えば、やはり女子ですね。
 神奈川2位の県立荏田高の第一回戦の相手は佐賀の名門・佐賀清和高です。

 1回戦目と言うことで緊張していたのか、立ち上がりは散々でした。あっと言う間に0-8とリードされてしまいました。
 そこであわてないのが荏田の良いところ、持ち前のディフェンス力で盛り返します。前半は31-33と射程距離内に追いついていて、後半の立ち上がりで一気に逆転しました。とは言え、それで逃げ切れるほど全国は甘くありません〔笑〕
 その後は清和が一歩リードの展開で終盤を迎えます。
 バスケットで大事な第4Q、ここで荏田が頑張ります。キャプテン黒川(162cm戸塚中)と小田部(167cm領家中)の得点で62-58とリードして、そのまま逃げ切りました。黒川+小田部の二人で47得点と大暴れです。

 2回戦目は大阪薫英女学院。大阪のみならず、今回は近畿ブロック1位、そして第7シードとしての登場で、ディフェンスが良く、バスケットがうまいことで知られるチームです。
 相手にとって不足はありません。

 立ち上がりは薫英のディフェンスに圧倒され第1Qを12-30と大差をつけられた荏田高でした。
 しかし後半に入り薫英にファールがかさんだところを、荏田は強いディフェンスからミスを誘い、速攻に繋げて28-40だった点差を徐々に詰めてきました。
 残り2分には2年生藤平(173cm山内中)のゴールが決まって4点差まで追い上げました。
 その後荏田は得意の強いディフェンスで薫英の攻撃を食い止めるものの、得点も出来ず、最後は逃げ切られてしまいました。
 しかし相手は近畿1位チームの薫英ですから、大健闘だったと思います。
◇黒川17得点、藤平15得点、新野(163cm六ッ川中)14得点。

 荏田の大健闘に触発されたのか、神奈川県1位の金沢総合高も大躍進です。
 関東では東京聖徳大に次いで2位の金総はこのIHでも上位を狙っていました。

 1回戦目の相手は香川県・英明高。金総は強いマンツーマン・ディフェンスで相手を押さえる一方、則本(178cm中野島中)と1年生・宮澤(180cm岡津中)がゴール下で活躍し、前半だけで66-26と大差をつけて後半は全員出場で114-70で一回戦を突破しました。

 続く2回戦の相手は東京2位の実践学園。先の関東大会で勝っている相手です。平均して大きいのですが、特に大きいと言う選手はいません。そこで前の英明戦同様、インサイドの則本、宮澤が攻め、相手のディフェンスが縮まったところを外からエース篠崎(166cm横浜旭中)が3Pを決める、と言う展開です。

 ただ金総の基本は「強いディフェンス」です。
 実践が攻められなくなり、徐々に点差が離れていきます。
 とどめは第4Qの立ち上がり。
 ディフェンスをより強くして実践のミスを誘い、4分間でたったの2点しか与えません。その間金総は速攻等で11得点して84-51としてメンバーを下げる余裕を見せました。
◇篠崎34得点、宮澤22得点、則本14得点。

 3回戦は山梨県・富士学苑。
 179cm、175cm、173cmと大型チームです。でも高さでは金総も負けません、則本178cm、吉澤は180cmあります。

 前半はインサイドが押さえられましたが、外から篠崎が決めて互角の戦いへ。
 ゲームが動いたのは第4Q。
 富士はディフェンスを3-2ゾーンに変えるものの金総には効きません。逆に金総の強いディフェンスに得点出来なく、10点差でスタートしたが6分後には71-53と18点差に開いていました。

75-53で勝って準々決勝進出です。
◇篠崎30得点、柳瀬(168cm永田中)13得点、宮澤12得点、小平(155cm上尾南中)

 準々決勝の相手は東北1位の宮城県・聖和学園。
 いつも通り強いディフェンスと篠崎の3Pでリズムを掴み16-6と10点差をつけますが、流石に相手は東北チャンピオン、そのままじゃ終わりません。
 聖和も得意のディフェンスで金総を追い詰め、一時は11点あったリードも1点差に追い上げられハーフタイムへ。

 後半に入り金総はインサイド+アウトサイドとバランスよく攻め、またも13点差をつけて、そのまま逃げ切りました。
◇篠崎26得点、小原(172cm横浜旭中)、柳瀬13得点、宮澤10得点13リバウンド。

 これで準決勝進出。3位以内決定!

 とは言え、次の相手は今大会4連覇を狙う愛知県・桜花学園。全般的に大きい上、ここには全日本代表候補191cmの渡嘉敷来夢がいます。彼女が独活(うど)の大木なら活路を見出せますが、正直金総の宮澤より動きは良いんです。

 でもこれで諦めないのが金総であり星沢監督です。

 時折見せるオールコートのマンツーマンで相手ガード陣を揺さぶり、篠崎、宮澤が得点して前半終了間際には4点差まで追いつきます。

 しかし後半になり、桜花はゆっくりペースにしてセンター渡嘉敷にボールを集めると、点差は開いてゆきます。その上いまだ無い高さを相手にすることで、シュートも思うように決まらず57-75で敗れてしまいましたが、18点差は立派な数字と思います。

 当然桜花は優勝してIH女子史上初となる4連覇しましたが、決勝戦で174cm以上が4人、最高184cmの東京成徳を89-67で下してます。

 それを考えれば立派なものです。
◇宮澤19得点11リバウンド、篠崎13得点。

 これで中学生の夏は終わりましたが、高校生は国体が待ってます。

 女子は昨年2位と好成績を挙げているので、今年も期待したいですね。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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