Vol.2
バスケットで今のシーズンと言うとやはりNBAでしょう。避けては通れません。
ファイナルという決勝シリーズが行われているからです。
横浜とは関係ないように見えますが、前回書いたように、日本生まれで初のNBA選手が横浜出身ということで、大いにNBAと横浜は関係が深いのです。
こじ付けが少し強引だったでしょうか(爆笑)
ファイナルは西地区代表 サンアントニオ・スパーズ対東地区代表 クリーブランド・キャバリアーズ(キャブス)の間で7戦制(先に4勝した方が優勝)で行われます。
スパーズのレギュラーシーズンは西地区3位でしたが、2位のサンズを地区準決勝で破り、1位ダラス・マーベリックスを破った4位ユタ・ジャズを地区決勝で破ってのNBAファイナル進出でした。
一方キャブスは東地区2位で、7位のワシントン・ウィザーズと6位ニュージャージー・ネッツを破り、8位オーランド・マジック、5位シカゴ・ブルズを下し、地区決勝に進出した1位デトロイト・ピストンズを下してきました。
両チームとも大本命と言う訳ではなかったのです。
私はスパーズのファイナル進出は当てましたが、キャブスは外れました(笑)
実力的にはピストンズが優位と思われていましたからね。
両チームをザックリ紹介しましょう。
スパーズのマスコット「コヨーテ」
スパーズのマスコット「コヨーテ」
スパーズは211cmのティム・ダンカンというF(フォワード)がスターです。この身長で反射神経は抜群で、良く走りよく跳びます。ゴール下(インサイド)が得意ですが、少し離れた距離のシュートも得意です。バックボードに当てるバンクショットの名手とも言われます。その上パスも上手くディフェンスも良いので、一説にはNBA#1選手との評価もあります。
そこに絡んでくるのが小さなトニー・パーカー(188cm,これでもNBAでは低いのです)という目がパッチリのフランス人です。背が低いのでPG(ポイントガード)してますが、速い速い。そのスピードとアメリカ人に無い独特のリズムを活かしドリブルで中へ割って入りシュートを決めるばかりか、外からの3ポイントシュートも正確です。
この2人だけでも手強いのにそこにSG(シューティングガード)のマニュ・ジノビリ(198cm)が加わります。パーカーの大型サウスポー版と思って下さい。前回世界選手権優勝アルゼンチンのスターで、地元では英雄です。
この3人がBig 3と言われ、この3人で50点以上取るのが勝ちパターンなのです。
そこにシュートの上手いマイケル・フィンリー(201cm)、ディフェンスの名手ブルース・ボーエン(201cm)、ゴール下で頑張るファブリシオ・オベルト(208cm)が主力です。
今6人の名前を挙げました。しかしバスケットは5人のスポーツですよね。
はい、実はBig 3の一人、ジノビリはベンチスタート(控え)なのです。
ベンチにはそのほか勝負強さ#1のロバート・オーリー(208cm)と3Pシュートの得意なブレント・バリー(201cm)がいるんです。ベンチ・プレーヤーの得点平均合計が30点ほどで、これがスパーズの強さなんです。
プレー・スタイルはインサイドにダンカン、外からパーカー、ジノビリがカットインして攻めます。それを怖がって小さく守るとフィンリーやGの2人とバリーが外からシュートを決めるのです。
その上ディフェンスが強いときては文句の付けようがありません(笑) 実際、2月の中旬からの成績は23勝6敗、勝利率約80%ですからね。
プレーオフ常連チームはシーズン後半から調子を上げてくるものなのです。
一方キャブスと言ったらレブロン・ジェームス(203cm)一人しかいません(笑)
将来性を買われ、高校から直接NBA入りした4年目の大物です。
どの位大物かと言うと、シューズメーカーと7年間で108億円の契約を結びました。NBAでプレーする前にです。
プレーとしてはご存知マイケル・ジョーダンを一回り大きくした感じです。シュートもパスもドリブルもリバウンドもディフェンスも、何でも出来ます。ハートも良いです。文句ないです(笑)
球団37年間の歴史で初のファイナル進出です。大快挙です(笑)
本当はまだ数年先だろうと思われていたのですが。
NBAファイナル進出を決めた東地区ファイナル、ピストンズとのシリーズ(7戦制)では、ゲーム(1)(2)で葛藤が有ったものの、ほぼワンマンチーム状態で勝ってきました。
インサイドはドリュー・グッテン(208cm)やアンダーソン・バレジャオ(208cm)もいますが、ダンカンの相手ではないですね。強いて言えば、シドルナル・イルガウスカス(221cm)が長身ながら外からのシュートが強みと言えそうですが、安定感がありません。
外の攻撃はというと、Fでドニエル・マーシャル(206cm)、サーシャ・パブロビッチ(201cm)等がいますが、コンスタントに力を発揮できないという不安があります。
Gでは、本来ならラリー・ヒューズ(196cm)が良い仕事をしてくれるのですが、左脚の調子が悪く、期待できそうもないですね。それをカバーしてくれたのが、新人Gのダニエル・ギブソン(188cm)で、彼はピストンズでの最後の3ゲームでは平均21 得点しているのです。
ハッキリ言って、数字やポジション別に分析すれば、スパーズが4勝1敗で優勝です。
だけど、数字で表せないのがスポーツであり、勝負の世界です。
今のキャブスには勢いがあります。毎試合レブロン以外で活躍する選手が出てきます。
短期決戦のファイナルではこれが一番の強みになります。
勝負は下駄を履くまで判りませんから。
1946年生まれ。
月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。
現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。
NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。
過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。
横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。
現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。
また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。
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